夏の甲子園、切符は沖縄尚学に 強さの秘訣や注目ポイントは?

 
沖縄尚学高校野球部(ベースボール沖縄提供)

 コロナ禍で去年は中止となった全国高校野球選手権沖縄大会は、18日に決勝戦が行われ、65校61チームの頂点に沖縄尚学が立ち、おととしに続く2大会連続9度目の夏の甲子園出場を決めた。今大会は県に出された緊急事態宣言により、6月7日から20日までは休校に伴い部活動が禁止されたため、7月3日に開幕が延期され、さらに15日間で甲子園代表校が決まるという短期決戦となった。休校明けも長雨でグラウンドがまともに使えず、各校ぶっつけ本番といっても過言ではない厳しい状況で試合に臨んでいった。その中で勝ち上がり、決勝は中部商業に5-2で競り勝った沖縄尚学の強さ、また甲子園での注目ポイントを紹介する。

光った球際の強さ

 じゃんけんで勝てば必ず先攻を取って先制点を狙い、試合の主導権を握るのが沖尚の勝ちパターンだ。今大会は優勝までの5試合で38得点、4失点。ヒットや四死球で出たランナーを確実に送りバントで得点圏に進めて相手の守りにプレッシャーをかけ、敵失やタイムリーヒットで引き離していった。

 そつの無い攻撃の一方で、特筆したいのは堅い守り(5試合で3失策)だ。その中心はキャプテンであり打撃でも中軸を担う仲宗根皐(なかそね こう)選手だ。内野の要、ショートを任され、三遊間深くへのゴロや高いバウンドで内野安打になりそうな当たりを、再三にわたってアウトにした。捕球から送球までの無駄のない動き、強い肩は大学生レベルにある。

 またサードの知念新(ちねん あらた 3年)、セカンドの長濱諒(ながはま  りょう 3年)といった内野陣も、ランナーがいて一塁に悪送球しても失点につながる場面で、ヒット性の当たりをアウトにしていった。大会前の限られた時間をとにかく実戦練習に当て、試合感覚の取り戻しを最優先した比嘉公也監督の方針に選手たちが守備面でも応えた。例年であれば5試合で3失策は沖尚にとって何でもない数字かもしれないが、パスボールなどのバッテリーミスや、ランナーを背負った場面でのエラーで失点につながり流れの変わった試合が多かっただけに、沖尚守備陣の健闘は優勝できた理由の1つだ。

エースの復活で厚み増す投手陣

 また準決勝は先発して7回、決勝も救援した3回途中から最後まで無失点で抑えたエース左腕、當山渚(とうやま なぎさ 3年)の活躍も大きかった。去年秋の大会前に左ひじを痛め、手術・リハビリを経て迎えた最後の夏に大輪の花を咲かせた。130km後半のストレート、そして鋭いスライダーのコンビネーションは見事だった。決勝の中部商業戦では打者21人に対し被安打2、特に力ある左打者の1番米田、4番渡久山にヒットを許さなかった投球はMVP級の働きだった。決勝後のインタビューで當山投手は「素晴らしい守備もあって打たせて捕れば絶対に捕ってくれるという強い気持ちを持って自信を持って投げることができた」と語っている。

 甲子園を見据え2人目、3人目のピッチャーも必要不可欠だ。打線のリードオフマンとして今大会は1番センターで活躍し、去年秋はエース級の働きを見せた後間翔瑚(こしま しょうご 3年)選手は、準々決勝の小禄戦で1番ピッチャーとして先発し7回を自責点1。また3回戦の那覇との試合では、公式戦初登板だった美里大雅(みさと たいが 3年)選手が9回完投でノーヒット・ノーランを達成した。美里選手は決勝の中部商業戦でも先発したが、被安打1もけん制悪送球やボークなどがあり3回途中2失点でマウンドを降りた。甲子園でリベンジのチャンスをつかんで欲しい。

大舞台での活躍に期待

 打線ではキャプテン仲宗根皐選手の勝負強いバッティングが印象的だ。決勝の中部商業戦では2-2の同点で迎えた5回2死2塁の場面で、レフト前へしぶとく運んだタイムリーヒットが決勝点となった。大会5試合で6割に近い打率を誇った打撃は、甲子園でもチームのけん引役となりそうだ。打力も選球眼もよく、足もある後間選手がチャンスメイクし、仲宗根主将始め長打力ある長濱、大城稜雅(おおしろ りょうが 3年)選手など長打もある打者が得点に絡んでいけば、全国の大舞台でも躍進が期待できる。仲宗根皐主将は「準決勝が終わってから、頑張れというLINEやメールが先輩たちからもあった。先輩たちの思いも背負って甲子園では一戦一戦勝ちに行きたいと思う。全国のすごいピッチャーがたくさんいると思うので、そこで通用するために甲子園までの期間をしっかり大事にしていきたい」と意気込んだ。ぜひのびのびと8月9日開幕予定の甲子園を楽しんで欲しいと思う。

 この夏は、センバツ出場の具志川商業、その具商を準々決勝で破った知念、ベスト4進出の豊見城、そして決勝まで進んだ中部商業など、公立校の健闘も印象深い大会となった。その活躍とともに、コロナ禍や雨に悩まされながらも大会を無事実施した県高野連や学校関係者、サポートした保護者の方々にも心からの敬意を表したい。

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吉田鉄太郎

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読谷村出身。県外放送局勤務後、帰郷しFM沖縄・FMよみたん情報番組パーソナリティー、RBCスポーツキャスターなどを経て、現在はQAB報道部にてスポーツを中心に記者業務に携わる。ヴォーカリストの妻とバトントワリングに励む娘と元気に楽しい3人暮らし。

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