「リアルな体験取り戻すきっかけに」 沖縄の子どもたちへ届ける演劇開発中

 
プロジェクトに参加する劇団の当山彰一さん(左)と新垣七奈さん

 沖縄県内で演劇制作や舞台芸術の発展に取り組む一般社団法人「おきなわ芸術文化の箱」が、子どもたちの表現力や創造力を含めた「生きる力」を育むために幼児向けの演劇プログラムの開発に着手している。合言葉は「沖縄の子ども達に演劇体験を届けよう!」だ。

 文化の箱で企画や運営を担当する島袋景子さんは「コロナ禍でコミュニケーションが制限されている中で、リアルな体験を取り戻すきっかけを作れたらいいと思っています」と意義を強調する。取り組みの一環として、7月26日には劇作家・演出家の平田オリザさんを講師に招き、子どもたちの「学び」の中での演劇の役割について話す講演会を開く予定だ。

コロナ禍で子ども向け公演激減

 県内の幼児教育現場では、これまで演劇や人形劇などが上演されてきたが、その上演を担うのはほとんどが県外の団体で、県内での幼児向けのプログラムはほとんどなかった。それゆえ、現在のコロナ禍で県外団体を招いた上演ができず、県内の子どもたちが演劇を目にする機会は極端に減少している。

「そもそも演劇を見る機会が少ない上に、コロナで劇場に行くハードルも高くなってしまっています。そうであれば、沖縄の演劇関係者で連携して製作することで、子どもたちが演劇体験をする機会を増やしていこうと思っています」(島袋さん)

 今回の取り組みは県と県文化振興会の支援を受け、県内で活動する劇団が演目を製作する。参加団体は文化の箱にも在籍する俳優・演出家の当山彰一さんが主宰する「劇艶おとな団」のほか、「TEAM SPOT JUMBLE」「演撃戦隊ジャスプレッソ」「演劇ユニット多々ら」の4団体だ。複数の劇団で共同開発することによって、多彩なラインナップを揃えることや、ノウハウや経験の蓄積・共有も行われる。

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