「リアルな体験取り戻すきっかけに」 沖縄の子どもたちへ届ける演劇開発中

 

 観劇にはテレビや映画、ネット動画などとは違い、生身の人間が目の前で体と声を使って表現する「直接性」がある。そのダイナミックさを目の当たりにして、様々な感情を体験をすることで、子どもたちの感受性が刺激され、感情表現が豊かになるなどの良い影響が指摘されている。さらに、舞台上で展開される物語に自分や自分の周りの人間関係を投影させながら見ることで、人との関わり方や自分自身の考え方に向き合うことにもなり、社会性や共感力を養う面もある。

「私も自分の子どもを連れて舞台を見に行きますが、演劇が始まると子どもが360度全方向にアンテナを張ったみたいに、五感で表現を受け止めているのを感じます。きちんと言語化するのは難しいですが、とても良い刺激を受けて変化しているんだなというのは分かるんです」(島袋さん)

県内巡回公演実施を目指して

 現在は演劇の内容に現場のニーズを反映させるため、幼児教育に携わる人たちに聞き取り調査を実施するなど、リサーチを進めている。今年10月には親子モニターを招き、製作した演目を披露する試演会の開催を予定している。その後は県内全域の幼稚園・保育園での巡回公演実施を見据える。

 当山さんは「参加劇団で県内の公演を回しながら、ゆくゆくは九州などの県外での公演にもつなげることができたらと思っています」と展望を語る。「このご時世ではありますが、例えば公民館や小規模の学校などの小さなコミュニティで上演する可能性も模索していきたいですね。東京などではもうそうした動きも出てきてます」と説明した。

 「子どもたちにとってもですが、劇団にとっても大きな経験になると思います」と島袋さん。「演劇では様々な表現が可能ですし、これからの『学び』に活かせる要素もたくさんあります。子どもたちと保護者、演劇関係者、そして教育現場の方々も含めて、みんなで協力して未来につなげていきたい」と期待を込めた。

 7月26日は平田オリザさんの講演会に先立ち、ワークショップも実施予定だが、会場での参加と見学は既に定員に達している。講演会も会場での聴講は定員に達しているが、「アトリエ銘苅ベース」のHPで申し込めばオンライン配信を見ることが可能だ。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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