「不登校でも道は拓ける」 居場所が社会に接点 ちゅらゆい

 

行政と家庭の架け橋として

 学校だけでなく、kukuluのような「代わりとなる居場所」にも顔を出せない子どもたちのためには、訪問サポートも行っている。学校に行けなかったり、人と接するのが難しかったりする子に対しては、ゆっくりと人間関係を作り、それぞれの抱える事情を丁寧にすくい上げながら個別プログラムを実施、自立への一歩につなげる。

 しかし、行政が“社会のセーフティーネット”を用意しても、そのネットで包み込むまでの段階に課題がある家庭も少なくないのが、現場から見える実情だ。
 「中には、行政や学校自体に親近感を持てない保護者もいます。親自身が学校に行っていなかったため、学校や行政からの案内文を読むのが難しく、情報を得られないことが理由で、セーフティーネットの蚊帳の外のままになるケースもあります」
 そのような家庭と学校の間に入ることで支援を円滑にするのが、民間の役目でもあるという。「学校は嫌でも民間の施設にまず来てもらって、ゆくゆくは学校に行けるようになる子もいます」

 不登校の子を無理して学校に行かせようとするのは、解決につながるどころか悪化することもあると指摘する。「クラスメイトや担任と合わなくて不登校になった子は、学年が変わったタイミングなどふとした拍子に学校に戻れることがあります。本人は学校と縁を切ったつもりはなくて、最初は数日間のつもりが2週間になって1カ月になって、というように、つながりは保っているけど延びてしまったという感覚です。その間に、引きずられるようにして登校を強制されるなど嫌な思いをした時に『もう学校には行かない』となって最後まで行かなくなる子もいます」

「不登校でも道は拓ける」

 屋部さんは「不登校はダメだという風潮がありますが、今は高校も大学も専門学校も授業料が無償化されています。5年10年前よりはだいぶ状況は良くなっています」と話す。そして温かく続ける「もし家庭の経済力に余裕がなくても、情報と本人のやる気さえあれば、道は拓けます」

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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