- Home
- 暮らし・教育・子育て
- 「『おめでた?』ってできれば聞かないでほしい」RBC仲村アナが生放送で伝えたかったこと
「『おめでた?』ってできれば聞かないでほしい」RBC仲村アナが生放送で伝えたかったこと
- 2022/5/2
- 暮らし・教育・子育て
「番組を休んだ時に『おめでたじゃないの?』って言われることが結構あるんですが、できれば今後は言わないで欲しいなぁと思っています」。沖縄の放送局「RBCiラジオ」の朝の情報番組「アップ!!」でパーソナリティを担当している仲村美涼アナウンサーは、4月18日放送の冒頭「妊娠・出産」について自身の考えを口にした。前日に仕事の都合で番組を休んだ際に、憶測で投げかけられた言葉が心に引っ掛かった。
声を上擦らせてまで、仲村アナにはリスナーに伝えたいことがあった。言葉を選びながら、提案するように話を続けた。
キャリアの心配や不妊、様々な出産の背景
その(「おめでたじゃないの?」という)言葉に対して批判したいというわけではありません。女性は(妊娠出産について)仕事のキャリアが止まってしまうという不安と(嬉しい感情が)裏腹なところがある。また、「授かりたくても難しい」「今の環境だと子どもはまだ」という方もいる。「おめでたですか?」という質問は、訊かれた相手によっては重く感じることがあると思っています。
(4月18日「アップ!!」放送より。以下同)
昨年末に結婚した仲村アナ。時折、いわゆる‘次の段階’として妊娠出産を勘ぐられる場面に出くわすこともあった。
「前提として、命の誕生を喜ぶ言葉は嬉しいものですが、初期だと流産のリスクや母体のメンタル、出産後のキャリアの不安など十人十色の背景があります。発する側に他意は無かったとしても、向けられた当事者はセンシティブに捉えてしまいます」
当初は、気軽に話して終わらせる予定だったという。オープニングトークで扱おうと決めたのは放送直前のことだった。
「放送前、女性出演者の方にこの件を話すと、同じように妊娠・出産に関する何気ない言葉で複雑な想いを抱く女性がいるケースを伺いました。社会に生きる一人の人間として、私にだって思うことはある。これは社会全体の話題だと思ったので、女性を声を代弁する形で伝えようと決めました」
(妊娠しているのか否かは)そっとしておいてくれたら嬉しい。周りの頑張っている女性の方にもそういうふうに接してあげてほしいなぁと思っています。
「ご懐妊を言われて嬉しい人もいれば、今はまだ言われたくない人もいるかも知れない。推測で先走った言葉を掛けるのではなくて、妊娠している本人の報告を待って祝福してあげてほしいと思います」
女性を見る社会の目
仲村アナのラジオでの発言を受けて「勇気を出して話してくれてありがとう」という声も届いたという。
「私は、至極当たり前のことを話したつもりなのに、そういう反応が来るということは、皆言いたくても言えない空気があるのではと再認識させられました」
以前から女性に対する社会の目に、思うところはあった。
「仕事柄、様々な働く女性に取材する機会も多いのですが、『自分のキャリアビジョンすら描けない』『職場内で‘目には見えない妊娠の順番’がある』という話を伺いました。そういう苦悩を抱えながらみなさんが働いている現状を目の当たりにすると、これは健全ではないと感じざるを得ませんでした」
男女の働く環境の差異を無くそうという機運は以前に比べると高まっているとは言え、まだまだ課題を感じるという。
「『子どもがいる女性に仕事をさせる事が不憫である』という履き違えた優しさから現場に出られないケースもあると聞きました。これは女性は家にいるべきという価値観が残っている結果だと感じます。真のジェンダーフリーとは、パートナーが双方共に家庭も仕事も両立できる環境を整えることだと思うんです」
働きやすい職場環境が、育児への貢献をもたらすことを実感できる出来事があった。それは、同期の男性アナウンサーが育児休暇を取ったことだった。
「彼が育休を取ったことで、現場全体でフォローし合うという輪の中に入ることができたのは大きな経験でした。この時に父親である彼を支えることで、私は『間接的に子育てをしている感覚』を得られたんです」
子育てをしやすい環境や、職場に復帰しやすい環境を作ることができると、女性がキャリアを止めなくても済むという安心感も生まれる。その安心感は巡り巡って、子どもがいる世帯に対して優しい社会にすることにもつながる。
だからこそ、声を震わせてまで伝えたかった。
「妊娠・出産についてデリケートな話題にしたいわけではないんです。妊娠中の方や働く女性が不安な気持ちなく暮らせるようになればなぁって」