「不登校でも道は拓ける」 居場所が社会に接点 ちゅらゆい

 

 画期的なのは、学校に行けなくてもkukuluに通えば一部出席扱いになるという点だ。出席とカウントするかはあくまでその学校の校長の判断によるというが、内申書には、学校の代わりに所定の場所で時間を過ごしていた、という但し書きと共に出席の要件となる。
 「これまでは、教室に行くことができない子どもたちは学校の保健室や別室に登校していました。しかし今では学校によって、公民館や集会所、学童、親の職場でも一部出席が認められます」
 そもそも、保健室登校をするにしても学校の門をくぐる必要があり、それさえも難しい子どもたちにとっては安らげる場所がなかった。出席日数に救済措置があるということが、生徒らが高校などを受験する際に不利にさせないことになる。

 全国的には、2019年度の文部科学省の調査で、学校外の期間で出席扱いとなった中学生は1万9654人、IT活用などで自宅にいながら出席扱いとなった中学生は434人もおり、決して珍しいことではなくなっているといえる。

好きなことを楽しめる場作り

 Kukuluは、一般的な学校のイメージとは大きくかけ離れている。マンガはたくさんあるし、ソファーでくつろぐこともできる。筋トレグッズやギター、ピアノ、卓球台まである。みんなで近所の公園に行ってサッカーやバスケもできる。

 友人と一緒に談笑していた16歳の男の子は「一緒にご飯も食べられて、スポーツも筋トレもできる。友だちがいて楽しいです」と照れたように話す。実際に、kukuluからプロサッカー選手を夢見てクラブチームに参加する生徒や、近所でアルバイトをしながら社会生活に溶け込みつつある生徒もいる。

 kukuluの支援事業は大きく3つだ。暮らしの力をつける「生活支援」、個別のレベルに合わせた「学習支援」、いろんな働き方を見せる「就労支援」。
 「生活支援」では、食事や清掃、洗濯など、生活するのに必要な基本的なスキルの他、金銭教育や性教育までカバーする。このように生活基盤を整えた上で、「学習支援」として大学生スタッフらがそれぞれの学習進度に応じて個別指導をする。この時間割は自分で組み立てられるようになっており、自主的な学習に向かわせる。その延長線上として将来をより具体的にイメージしてもらおうと、「就労支援」では職場体験や社会人講話を通してさまざまなキャリアに触れるチャンスを作る。3つの支援事業は一貫したものとしてある。

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