進化する空手ツーリズム 道場連携しオンライン稽古 顧客は世界に

 

 オンライン稽古の確固たるモデルケースを確立させて、今後は沖縄だけではなく、全国各地の道場とも連携していく構えだ。

交流進む沖縄伝統空手とフルコンタクト空手 新たな顧客層開拓へ

 今、世界の空手界が変わろうとしている。極真会館などが行う、直接の打撃を伴うフルコンタクト空手と沖縄空手との交流が進みつつあるというのだ。極真会館出身で世界空手道連盟士道館の開祖でもある添野義二館長が9月下旬にも沖縄を訪れ、沖縄空手4流派の重鎮と会食をするなどした。空手界は各流派それぞれのプライドや自負があり、流派間の交流がほとんどないという。

 アゲシオジャパンの上田社長は「極真空手出身の重鎮と沖縄空手の重鎮が会うのは歴史的なことです」と声を弾ませる。この機会を取り持ち、同席したのも、上田社長自身だった。たまたま添野館長の妻が同社のサービスに申し込んでいたのがきっかけだ。

会合の場について「『お互いの良いところを吸収し合って、一緒に日本の空手を盛り上げましょう』という温かい雰囲気でした」と喜んだ。

 フルコンタクト空手の愛好者は、潜在的に沖縄空手にも関心を持つことが多いという。古田さんは「年を重ねるとフルコンタクト空手の練習が難しくなってくる場面も多くなってきます。その一方で、より型や精神性を重んじる沖縄空手はいつまでも練習を重ねることができるため、その奥深さに興味が向けられるようです」と、その相互性を述べる。

 沖縄を訪れる空手愛好者や関係者は、国内外から毎年約7000人とされている。古田さんは「今までは『沖縄に空手を習いに来たいと思っている7000人』の層しか意識していませんでした」と話すが、顧客層をフルコンタクト空手愛好者まで広げることで、そのマーケットは1千万人単位にも広がる。母数は激増だ。

 船越義珍らによって沖縄から日本本土に空手が伝えられて約100年。今や世界中に広がった沖縄発祥の空手。今度は逆に、世界中の空手家を沖縄に呼び込もうとする時流を作り出している。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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