進化する空手ツーリズム 道場連携しオンライン稽古 顧客は世界に

 

 15世紀の琉球で誕生したともいわれる空手。県が掲げる「沖縄空手振興ビジョン」によると、世界での愛好者は1億3000万人いるとされ、日本の人口に匹敵するほどだ。空手をテーマにした体験や観光などに特化した旅行会社・アゲシオジャパン株式会社(那覇市、上田健次郎社長)は、新型コロナウイルスの影響で沖縄を訪れる観光客が激減する状況下で、新たなサービスを打ち出した。各道場と連携した「空手のオンライン稽古」だ。

 沖縄の空手家に指導してもらいたい愛好家のニーズに応えるだけでなく、コロナ収束後に沖縄で直接稽古し帰国した後でも、オンラインでのフォローアップに役立てるなど可能性が広がる。さらに、ことしに入って沖縄の伝統空手界とフルコンタクト空手界との雪解けが進み、より多くの顧客層を見据えた動きもあるなど、沖縄空手ツーリズムの新たな未来が拓けつつある。

年内に14道場と連携見込む

 2017年に旗揚げした同社はもともと、空手の発祥地であり本場でもある沖縄で空手の稽古を受けたいという人向けのメニューを提供している。1回の体験のみならず、沖縄空手の4流派(上地流、剛柔流、小林流、古武道)をそれぞれ体験できるメニューや空手合宿、空手の歴史に触れるツアーなど、多種多様だ。海外からの参加も多い。

 しかし、このコロナ禍だ。沖縄で空手を習いたい空手家は沖縄に行くことが叶わず、空手を教えたい道場は受け入れることもできない。そんな困りごとを抱える双方をつなげる打開策として、道場と生徒をオンラインでつなぎ、画面越しやスピーカー越しながらも直接コミュニケーションを取りながら指導を受けられる稽古を考案した。年内までに沖縄県内を中心とした14道場でオンライン稽古ができるように整備していくという。

 同社はこれまで、著名な指導者を講師にセミナーを開催し、各国から約200人を集めた実績からも手ごたえを感じていた。10月18日に行った古武道セミナーには15カ国から35人が参加し、1月の次回開催もすでに決まっている。

 取締役の古田桂一さんは、この取り組み自体は会社としてもメリットがあると話す。「オンライン稽古を受けてくれた方は、コロナが収束した後に実際に沖縄で稽古を受けに来てくれると期待しています」と、今後の“沖縄空手ツーリズム”を充実させる素地作りも、今のうちに見据えている。

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