進化する空手ツーリズム 道場連携しオンライン稽古 顧客は世界に
- 2020/10/20
- 経済
さらに、コロナがきっかけのオンライン稽古とは言え、思わぬ効果も生み出そうとしている。
「これから実際に沖縄で稽古を受けられるようになって、生徒が自分たちの県や国に帰った後も、オンラインで(復習や追加など)フォローアップができますよね。試行錯誤しながらですけど、すごく可能性を感じています」
オンライン稽古の要は“ライブ感”
本来ならば手取り足取り指導をするであろう空手の稽古だ。古田さんは「やはり(先生と)対面ではない分、普段の稽古とは全然違います。方法を工夫して、オンラインでも満足してもらえる稽古のノウハウを積み上げています」と話す。
遠隔会議などでもおなじみのツール「ZOOM」を使ってライブ配信する。一度で15~20人程度が参加する。機材の設営や操作などの技術面や、申し込みの管理など実務的な面はアゲシオジャパンが担当し、道場サイドは稽古に専念してもらう。
「道場の先生も、久しぶりに顔を見て話す生徒さんと近況報告をしたり一緒に稽古をしたりできて喜んでくれています」と、遠く離れながらも空手を愛する者同士、コミュニケーションそのものを楽しんでいる。
10月の本格始動を迎えるまで、試験運用を15回程度重ねてきた。気付いたことはいくつもある。
「ライブ感をいかに出すかが重要です。それがなければ、YouTubeを見るのと変わりません。『先生に見てもらえているという緊張感』『先生から学べている喜び』を感じてもらう必要があります」
まず、先生の目線の高さには40インチモニター(横幅約90センチ)を設置。生徒一人一人の姿勢や顔が見えるように配慮し、これによって“ライブ感”を高めた。先生自身がどのように映っているのか確認できるように、もう一つ小さなモニターも使う。道場の鏡の代わりのような役目だ。
先生が一人で指導するのではなく、相手役にも参加してもらうことで、具体的な技や動きについてモニター越しの参加者により分かりやすく伝えることができた。
参加者にも、カメラとの距離や角度などを事前に指定、チェックし、構図を統一している。これによって「一つの会場」としての一体感も出てくる。
オンラインならではの接続や映像音声のトラブルも未然に防ぎ「スムーズな進行」を実現することも、充実の稽古をする上では大きな要素だ。参加者全員の声や生活音、環境音が混ざり合ってごちゃごちゃにならないよう、返事などはOKサインなどジェスチャーで行うことにもなった。