4カ国から識者招きシンポ アジア太平洋の平和を沖縄から考える

 

「沖縄はアジアを結ぶ懸け橋に」

(左から)高橋氏、白氏、吳氏。リモートで参加した画面上のアルガイ氏、孫氏

 第2部のパネルディスカッション「アジア太平洋地域から見た沖縄県の国際的な役割と可能性」と題して、パネリストとして韓国から延世大学名誉教授の白永瑞氏、中国から中国社会科学院文学研究所研究員の孫歌氏、台湾から国立台湾海洋大学海洋文化研究所助理教授の吳俊芳氏、フィリピンからフィリピン大学ディリマン校教授のアリース A. アルガイ氏が登壇。コーディネーターは高橋氏が務めた。

 孫氏は、中国での一般的な沖縄のイメージや捉えられ方について①歴史的にも現実的にも友好的な関係を保っている②日米によって軍事拠点化されていることに同情の念がある③神秘的な文化があって美しい観光地-の3点あることを紹介した。

 アルガイ氏は、沖縄が地理的にもアジア諸国と近く、文化的にも東南アジアから見て親しみがあることなどから「沖縄はアジアの異なる地域を結ぶ懸け橋となる可能性を秘めています」と述べ、フィリピンが「敵は作らず全ての友となる」という外交政策を掲げていることに触れながら「共同で一緒に平和への取り組みを進めることができると思います」とも語り、期待を込めた。

 台湾の吳氏は、中国・福建省から10キロ以内にある台湾の島、金門島について「日本に統治されたことがないので、人々は文化的なアイデンティティを『中華圏文化』であると捉えています。金門の人たちが中国に対して文化面に反感は抱いていないということだけで、台湾側では『親中的だ』と言われています」との実情を指摘し「(良い関係を築くために)交流しているのに台湾側から『親中的だ』と批判されます」と、対話を続ける上での葛藤を示し、中台の狭間の島としてバランスを保ってきた歴史を語った。

 白氏は、国境を越えた市民同士の対話に加えて「民間と政府の対話、具体的に言うとアジア太平洋地域の緊張緩和を求める官民の協力も、同時に大切です」と話し、政府に対する市民側の努力の視点にも言及した。また、今後の具体的な交流のアイデアとして「ドキュメンタリー映画祭やオンラインゲーム大会を推進するのも良いと思います」と、ソフト面からの交流機会を設けていくことを提案した。

玉城知事「周りの国々から信頼を」

 冒頭では、玉城デニー沖縄県知事が動画メッセージで「力による抑止力の強化がかえって地域の緊張を高め、不測の事態が生ずることを強く懸念しています」と述べた上で「必要最低限度の自衛力は認めるにしても、決してこちらから攻撃する意図はないんだということをはっきり行動で示し、周りの国々から信頼して頂く必要があります。周りの国が考えていることを我々もしっかりと理解して、疑心暗鬼に陥らないことも重要です」と、対話を通した緊張緩和の大切さを訴えた。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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