「人を“つなぐ”市場」第一牧志公設市場がリニューアル 開店初日は大賑わい

 

オープン直後から大盛況

続々と場内になだれ込む買い物客

 テープカットが終わると、入場を待ちわびていた大勢の買い物客が次々と場内へ。各店から「いらっしゃーい」と元気よく出迎える声が響く中、豚肉を買い求める地元客や、色鮮やかな近海魚を物珍しそうに見る観光客、そしてその様子を撮影する県内外のメディアも含めて、市場は一気に活気づいた。

「はっさ、久しぶりじゃない!?」「あいやー、会いに来てくれたわけ!」。場内を歩いていると、いくつかの店でそんな声が聞こえてきた。リニューアルに合わせて久しぶりに市場を訪れる人もいれば、日々の買い物で来て「新しくて上等になってるさー」と言いながら大量のソーキを注文しているおばあもいる。

 ちょうど昼時だったこともあって、2階の食堂はあっという間に席が埋まり、美味しそうに定食を食べる地元客や観光客、家族連れの姿も多く見かけた。

 新しくオープンした市場は地上3階建て。1階は鮮魚・精肉などの販売店、2階には飲食店があり、全84店舗が営業する。リニューアル前から人気だった、1階の店舗で買った食材をそのまま2階の食堂で調理して食べることができる「持ち上げ」のシステムも健在だ。3階にはイベントなどでも使用できる調理室や多目的室が新設された。また、平和通りにあった商店街の案内所が市場1階に移転している。

 旧建物の市場は老朽化のために2019年6月で営業を終えて、その後は今月まで近くの仮設市場での営業を続けていた。20年6月には建設工事に着手したものの、建設地が軟弱地盤だったこともあり、22年4月の予定だった開業は約1年延期。建物は今年2月に完成し、無事オープンに漕ぎ着けた。

市場のこれまでとこれから

 第一牧志公設市場は、戦後間もない頃に現在の開南バス停付近に自然発生的に出来た闇市が、1950年に那覇市営として各店を束ねて開設した。物資が少ない中で、建物は集めた廃材を使いトタン屋根で建てられた。その後、72年の日本復帰の年には建物を建て替えて、リニューアル前の旧市場が長らく県民に親しまれてきた。
 ちなみに「第一」という名称になっているのは、69年に「第二牧志公設市場」が開設されたことで改名されたからだ。

 80年代後半から90年代にかけて、平和通りのアーケードが出来上がったことや、アジアの食堂をモデルとした「持ち上げ」のサービスを始めたことで、観光地化が進み人気のスポットとなった。一方で、スーパーやショッピングモールなどが各地に増えたことで、地元客は減り続けていた。

 その後、“せんべろ”で飲める居酒屋などが徐々に増えて地元客も戻っていた頃、コロナ禍に突入。建て替え工事が始まってから市場は仮設で営業していたが、緊急事態宣言などで観光客も地元客も姿を消し、2021年末には軟弱地盤の影響で開業の延期が決まるなど、苦境が続いた。

 マスク着用のルールが緩和後、初の週末となるタイミングでリニューアルオープンを迎えた第一牧志公設市場。戦後からこれまで幾多の困難を乗り越えてきたように、これからも人と、そして沖縄の歴史を“つなぐ”場所として、再出発の初日と同じく賑わい続けていくことを願いたい。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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