「大変幸せだった」 第11管区一條正浩本部長が退職
- 2023/3/31
- 社会
第11管区海上保安本部の一條正浩本部長(60)は30日、今月末の定年退職を前に那覇市で記者会見し、最後の任務として第11管区の本部長を務めたことについて「一言で言うと『幸せ』だった。注目される管区で重圧もあったが、それに見合う充実感があり、大変幸せだった。皆さんに感謝している」と述べた。尖閣諸島周辺海域の情勢については「変化はなかった」と強調した。
尖閣諸島周辺では、接続水域で中国公船が確認された日数が昨年336日と過去最高を記録したほか、領海侵入した時間が昨年12月に連続72時間45分と過去最長となる事案があったものの、任期中の2年間について「肌感覚として変化はなかった。何かエスカレートしているとか、そういったものを感じるような現象はなかったと捉えている」との認識を示した。
一方、領海警備については、海保職員の能力と戦術があるので問題はないが、相手も研究し能力を上げてくるとして「油断してはいけない。もっと訓練、鍛錬を日々行わないといけない」と指摘した。
海上保安官として歩んだ約40年間を振り返り、現在進行形の課題や取り組みがあるとして「やり切ったという感じはない。まだエネルギーがあり余っており、寂しい感じがある」と笑顔で話した。
後輩たちに対しては、キーワードに新陳代謝を挙げ、目まぐるしく変化する社会情勢や国際情勢を踏まえ「捨てるものは捨てる。その上で、新しいことを取り入れていくということが大切だ」とエールを送った。
また、海上保安官を目指す若者に対しては「正直に言うと厳しい職場だが、厳しい状況を乗り越えた者だけが味わえる充実感がある。私たちと一緒にやりがいを感じて歩んでいきましょう」と呼び掛けた。
記者会見後は、県庁に玉城デニー知事を訪ね、退職を報告した。玉城知事は急患空輸への謝辞を述べた上で「毎日、監視体制を緩めることができず、非常に緊張が続いたのではないかと思う」とねぎらった。
一條本部長は、災害対応や安全対策は観光振興にも間接的に寄与するとして「今後、さらに連携を深めていきたい」と話した。
(記事・写真 宮古毎日新聞)