映画「沖縄戦の図」記者発表 戦争の実相と思いに迫る

 
映画「丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部」の完成発表を行う(右から)河邑厚徳監督、佐喜眞美術館の佐喜眞道夫館長、佐喜眞淳助監督=1日、宜野湾市・佐喜眞美術館

 1945年4月1日に米軍が沖縄本島に上陸し、悲惨極まりない地上戦の「沖縄戦」が開始されて78年が経過した1日、佐喜眞美術館(佐喜眞道夫館長)は、宜野湾市の同美術館で、映画「丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部」(河邑厚徳監督)の記者発表を行った。同映画は、画家丸木位里、俊夫妻の絵に込めた沖縄戦の実相と、恒久平和を願う体験者や県民の思いに迫り、丸木夫妻の祈りの軌跡を追ったアートドキュメンタリー作品。

 同美術館は、「原爆の図」など反戦平和画家として、世界的にも著名な丸木夫妻の沖縄戦に関する絵画全作品を所蔵している。絵画は常設展示されている「沖縄戦の図」(4×8.5m)をはじめ、「久米島の虐殺」「亀甲墓」「チビチリガマ」など14点に上り、一貫して戦争地獄絵を描き、戦争の悲惨さや愚かさ、同夫妻の平和を願う強い思いが込められているという。

 今回、制作された映画は絵画全14作品を紹介し、各絵画にまつわるエピソードや戦争体験者らの証言、丸木夫妻の絵画制作についての様子を映し出したドキュメンタリー作品で、2020年~22年の約3年間を映画制作に要したという。出演者は16人で、約20か所でのロケを行った。

映画制作について、「沖縄戦の図」を前に、その経緯などを解説した河邑厚徳監督=1日、宜野湾市・佐喜眞美術館

 制作発表で、佐喜眞館長は「1978年に沖縄にやってきて、最晩年まで沖縄で芸術活動を続けた丸木夫妻のことを知ってもらい、絵画という芸術の向こうにある『平和の本質』というものを、とりわけ若い人たちにも知ってもらう機会にもなる映画だ」と述べて、多くの人の鑑賞を呼び掛けた。

 河邑監督は「画家、丸木夫妻の大作『沖縄戦の図』は、リアルタイムで戦争の災禍を伝える芸術作品。画家の軌跡をたどる物語に、ウクライナでの戦争が続く今こそ、アートは平和の祈りを運ぶ箱舟だ」と語った。

 「沖縄戦の図」は昨年6月23日の「沖縄全戦没者追悼式典」で、「平和の詩」を朗読した徳元穂菜さん(山内小学校2年・当時)の「こわいをしって、へいわがわかった」のモチーフになった作品。同映画は、6月17日から那覇市の桜坂劇場で全国に先駆けて上映し、その後、全国ロードショーを行う予定。また、今月15日に予定する「沖縄国際映画祭」でも上映する。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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