ウェルネス沖縄が初、宮古が2度目の決勝進出 沖縄県春季高校野球

 
(左から)好投したウェルネス沖縄の安里幸大と宮古の花城駿=4月2日、沖縄セルラースタジアム那覇(雑誌「ホームラン」提供)

 高校野球の第70回沖縄県春季大会は2日、沖縄セルラースタジアム那覇で準決勝2試合を行い、ウェルネス沖縄は7ー0で西原に7回コールド勝ち、宮古は4ー1で豊見城に勝利した。決勝は8日午後1時から同スタジアムで行われる。ウェルネス沖縄の決勝進出は初めて、宮古は8年ぶり2度目となる。

安里幸大が被安打2の快投 ウェルネス沖縄

 強打のウェルネスは初回からランナーこそ出すが、西原の友寄瑞昌投手の緩い球をなかなか捉え切れない。5回まで1点のみと、もどかしい状況が続いた。

 それでも先発右腕の安里幸大が「初球からストライク先行でガンガンいきました」と強気の姿勢で試合に入り、素晴らしいピッチングを見せる。最速141kmの力強い速球とカーブをテンポ良く際どいコースに決め、ほぼ毎回三者凡退に抑えた。

 するとグラウンド整備後の六回裏の攻撃で、打線が爆発する。きっかけは五十嵐康朗監督の指示である。「だいぶ(相手投手に対して)準備はしてきたんですけど、それ以上に上手に攻められていたので、もうちょっと引き付けてピッチャー返しでいきましょうという話をしました」

六回裏、適時打を放ち、仲間とハイタッチするウェルネス沖縄の大濱安綺(雑誌「ホームラン」提供)

 2番・富村大夢の中前打を皮切りに、4番・當銘愛渉の三塁打、5番・大濱安綺の二塁打など6連打で一挙5得点を挙げ、勝負を決めた。普段右打席の大濱はこの回、初めて高校の公式戦で左打席に立ち、それが適時打となり「パンチ力は右の方があるけど、左の方がストレスなく打てる感じがするので、普段から練習はしていました。気持ち良かったです」と笑顔だった。

 沖縄開催だった昨秋の九州大会、勝てばセンバツ甲子園出場がほぼ確定する2回戦で、2番手で1回を投げて3失点を喫した安里は「自分が打たれて甲子園に行けなかったので、その悔しさがある。同じ思いはしたくない」と下半身を中心に冬場のトレーニングに精を出してきたという。決勝に向けて「投げることができたら、今日みたいに丁寧にコースを突いていきたいです」と意気込んだ。

花城駿が低めに集めて完投 宮古

三回裏、勝ち越しの適時打を放ち、味方ベンチに向かって吠える宮古の下地智也(雑誌「ホームラン」提供)

 ベンチメンバー13人のみの宮古は初回に先制点を許し、二回以降も毎回のように出塁されるが、先発の花城駿が丁寧にボールを低めに集めて追加点を許さない。すると三回、先頭打者の3番・友利洸星が右越え二塁打を放つと、5番・新里竜正、7番・下地智也の適時打などで3点を奪って逆転した。

 その後も好投を続けた花城。9安打を打たれながらも要所を抑え、9回を一人で投げ切った。今大会では初めての先発だったため「昨日の夜に先発と言われ、リリーフと違って大事な1~3回を背負うからめちゃめちゃ緊張しました」と言うが、「抜けたボールは少しあったけど、徐々に調子が上がって終盤はリズム良くストライクも取れました」と満足げだった。

 まだ甲子園出場がない宮古島勢。宮古高校は1977、78の両年に2年連続で夏の甲子園出場を懸けた全国高校野球選手権沖縄大会決勝に進出したが、いずれも豊見城に敗れた過去がある。それを念頭に、平良栄二監督は「たぶん島の人には『豊見城アレルギー』があるんじゃないかと思っていたので、それをちょっと払拭できて良かったです。花城が持ち味のストレートと変化球のコンビネーションをしっかり使い、とてもいい出来でした」と振り返った。

 決勝で当たるウェルネス沖縄は、昨秋の県大会3回戦で1ー3で敗れた相手だ。捕手の川根心真主将は「ピッチャー陣が自分のボールを投げられればウェルネス打線を抑えられると思うので、キャッチャーとして彼らが気持ち良く投げられるようにしたい。ウェルネスにリベンジしたいです」と気合いを入れた。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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