「人を“つなぐ”市場」第一牧志公設市場がリニューアル 開店初日は大賑わい

 

 老朽化に伴う建て替え工事を終えて、那覇市の「第一牧志公設市場」が3月19日にリニューアルオープンした。「県民の台所」というフレーズで親しまれ、沖縄県民のみならず観光スポットとしても人気だった公設市場。コロナ禍で大きく影響を受けている「まちぐゎー(商店街)」復活の“起爆剤”としての期待がかかる。
 19日午前にはオープニングセレモニーが行われた。市場組合長の粟國智光さんは「この市場が戻ってきて本当に良かったと思っています」と繰り返し感慨を口にしながら、「人を“つなぐ”市場として、色んな方と交流して多くの方々にご利用いただければ幸いだなと思っています」とあいさつした。
 市場には関係者のほか、大勢の地元客や観光客が集まり大賑わいとなった。新装開店した店の店主や店員からも威勢の良い呼び込みの声が飛び交い、活気あふれる新たなスタートを切った。

アンマーたちの思いが積み重なった場所

 市場の周囲はセレモニー開始前から、通り掛かる人が歩けないほどの見物客でごった返していた。通り掛かりに人だかりを見かけて、不思議そうにやってくる観光客も多い。たくさんの人がスマホを片手に握りしめて、市場の写真や動画を撮っている。
 セレモニーが始まるとオープニングのエイサーや旗頭が華を添え、知念覚那覇市長や玉城デニー沖縄県知事、菅義偉前首相ら行政関係者や市場関係者のあいさつが続いた。その中で、組合長の粟國さんの言葉がひときわ深く市場界隈に響いた。

「この市場は食の魅力拠点というだけでなく、沖縄の『ちむぐくる(≒真心)』の原点の場所、沖縄の商売人の原点の場所、特にこのエリアは沖縄の女性の方、『アンマー(=お母さん)』たちが沖縄の戦後の盛り返しのために一生懸命頑張ったという、本当に価値ある場所なんです」

 牧志公設市場という場所に積み重ねられた歴史についてそう語りつつ、粟國さんは14年前に当時の那覇市役所職員から持ちかけられた「公設市場再生プラン」にも触れた。「この事業は本当に大変な、長い事業になる」と感じつつも、関係者や周辺商店街とも議論したことを振り返り「本当に戻って良かったと思います」と噛み締める。

第一牧志公設市場組合長の粟國智光さん

 第一公設市場が周辺商店街と「運命共同体」であることを強調しつつ、周辺事業者や地域住民の完成までの期間の苦労を労いながら、以下のように語って、市場とその周りを取り囲むまちぐゎーの未来に希望を込めた。

「まず市民・県民の方が利用できるような、このまちぐゎーで『あっちゃーあったちゃー』して楽しむ街、多くの観光客に沖縄の良さ、生活・文化・相対売りを楽しんでいただく街、また、世界各国の人々が楽しんでいく街。それぐらい価値がある市場になると思います。ぜひ今後とも、人を『つなぐ市場』として、色んな方と交流して、多くの方々にご利用いただければ幸いだなと思っています」

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