「幸せな選手生活」東京五輪空手形金メダリスト 喜友名諒さんが引退会見

 
競技からの引退を決めた喜友名諒さん(左から4人目)、金城新さん(同3人目)、上村拓也さん(同2人目)。師匠の佐久本嗣男氏(右端)と清水由佳氏も会見に同席した=3月17日、豊見城市の沖縄空手会館

 東京五輪空手男子個人形金メダリストの喜友名諒さん(32)=沖縄東中学ー興南高校ー沖縄国際大学出身=が17日、長らく団体で共に戦ってきた金城新さん(31)=山内中学ー美来工科高校ー沖縄国際大学出身=、上村拓也さん(30)=金城中学ー興南高校ー沖縄国際大学出身=と共に豊見城市の沖縄空手会館で引退会見を開いた。

 会見には3人が所属する劉衛流龍鳳会の師匠である佐久本嗣男氏、清水由佳氏も同席した。多くの劉衛流関係者や家族も会場で見守る中、喜友名さんは「どこにもない、幸せな選手生活を送ることができたと思っています」と万感の思いを語った。

アジア選手権団体6連覇で「やりきった」

 3人は世界選手権の団体形で2連覇を達成。さらに喜友名さんは個人形でもいずれも史上初となる世界選手権4連覇、全日本選手権10連覇を果たし、絶対王者として君臨してきた。2021年の東京五輪空手男子個人形における金メダル獲得は、オリンピックの全種目を通して沖縄県勢初の快挙だった。

劉衛流関係者や家族から花束を受け取る3人。急に形を披露し始めた子どもに優しい視線を向ける

 3人にとっての最後の大会は、昨年12月に団体形で6連覇を果たしたアジア選手権となった。それを念頭に、喜友名さんは時折声を詰まらせながら引退を決めた理由や周囲への感謝の気持ちを語った。

 「前回のアジア選手権で、団体で自分たちが一番強いということを証明できました。3人で『もうやりきった』という思いを一緒にすることもできましたので、悔いなく引退を決めました。2人とは小学生の頃から仲間であり、ライバルであり、先輩、後輩ではあるけど友達のような存在でもあって、一緒に戦ってこれたことを誇りに思っています。毎日稽古を付けてくださる佐久本先生や清水先生がいて、毎日切磋琢磨できる仲間がいて、自分はここまでやってこれたと心から思っています。とても感謝しております」

 金城さんも、喜友名さんと上村さんに対して「最高のチームメートであり、仲間であり、ライバルであり、兄弟のような存在です。私1人では見ることができなかった世界の景色というものを見させてもらって、本当にありがとうございます」と感謝。佐久本氏に対しては「本当に感謝の2文字では言い表せられないくらいの気持ちでいっぱいです。不器用で、臆病で、才能も全くない私がここまでやってこれたのも、先生の言葉を信じてついて来れたからだと思っています」と述べた。

 先輩2人の後に挨拶した上村さんは冒頭で「兄貴お二方が素晴らしいスピーチを述べて、私も受験勉強以来にたくさん話す事を考えてきたんですけど、全て飛んでしまったので、心の底から思っている事を心から述べたいと思います」と語り、その上で「たくさんつらいこともありましたが、空手を通して、人としてたくさん学ばせていただきました。劉衛流が『人間力の向上なくして競技力の向上なし』を掲げているように、競技以外にも礼儀や挨拶、細かい気遣いなども指導していただき、本当に感謝しております」と話した。

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