霜降りせいやのそっくりさんで優勝 居酒屋で「似てるね」から始まるまさかのストーリー

 

 沖縄県浦添市出身のくにゆーさん(本名:國吉優さん)が、10月15日に放送されたフジテレビの『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦 2022 秋』内のコーナー「顔だけそっくりさんNo.1決定戦」に出場し、お笑いコンビ·霜降り明星のせいやさんの“ものまね”で全国から集まった猛者を退けて優勝した。くにゆーさんは「僕はものまねなんてしていないんですよ。ただ生まれ持った顔でそこにいただけで優勝しました」と謙遜するが、放送ではボディービルで鍛えた肉体を生かして「本人よりはるかに大きい霜降り明星せいや」との触れ込みで盛り上げた。番組出演のきっかけは、涼風吹く、春の東京での1コマ。日常によくあるような、居酒屋のカウンターでのある出会いからだった。

身に覚えのない電話「最終選考に残っています」

 9月のある日、くにゆーさんのもとに突然電話がかかってきた。番組制作の担当者からだった。「國吉さんが最終選考に残っているんですが…」

 「最終選考…」。何のことか、耳を疑った。「本当に心当たりがなくて、何のことなのかさっぱり分からなかったんですよ。全く記憶になくて」

 そうなったのも無理はなかった。ちょうど春頃に訪れていた東京の居酒屋で、隣に居合わせた男性に「霜降り明星のせいやに似てるね」と言われ「それ、よく言われるんですよ」と返したのがきっかけで盛り上がってしまい「じゃあ、なにかものまね番組に応募してみようよ」と“酒席のノリ”で応募しただけだったからだ。お互い酔っぱらったままの出来事だったので、このことはくにゆーさんの記憶からはほぼ完全に消え去っていたのだった。

エントリー写真が似すぎていて

 電話の主に詳細を聞き直して初めて、どうやら自分が全国放送のものまね番組で最終選考に残っているのだと知った。くにゆーさんは、とても困惑した。もうすでに予定が入っていて、手放しで喜べる状況じゃなかったからだ。番組担当者からは「次の選考に向けた審査用動画を送ってほしい」との申し出があったが、この段階では自らエントリーすることは見送っていた。

 それからしばらく経ち、同じ担当者から再度くにゆーさんに電話がかかってきた。「審査用動画の提出締め切りは過ぎているんですけど、もう國吉さんが出演者の最有力候補になっています。ぜひ出てください」。エントリー写真がせいやさんに似すぎていたことで、制作サイドの心をすでに鷲づかみにしてしまっていた。ついにくにゆーさんが出演のオファーを受け入れたのは、次の一言が心に刺さったからだ。「交通費も宿泊費も出ます」

 無料で東京に行けて友人知人と遊べるのならいいチャンスだと、くにゆーさんは東京行きの航空券を調べ出した。

初めての“ものまね”をしてみたものの

(くにゆーさん提供)

 曲がりなりにもものまね番組に出ることになった手前、何の準備もしないわけにはいかなかった。くにゆーさんは「とりあえず、表情の練習からやってみますよね。信号待ちの車の中でバックミラー見ながらとか。誰からもフィードバックのない個人練習をひたすらやっているんですけど、自分自身がせいやさんに似ているって思っていないので、何をどうすればいいのか分からないんですよ」と掴みどころのないまま努力を重ねていた。

 そこで原点に立ち返った。「写真だけで決勝に行けてるじゃないか」。くにゆーさんは決めた。本番ではただただそこに立っていればいいのだと。「プロのものまね芸人の方も番組に出演すると聞いていたので、みなさんと友だちになれたらいいかなぐらいの気軽な気持ちで臨みました」

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