沖縄の景況判断引き上げ 日銀那覇支店10月
- 2022/10/15
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は14日、2022年10月の県内金融経済概況(主要指標は8月)を発表し、県内の判断を「厳しい状況にあるが、持ち直している」から「持ち直している」に引き上げた。判断の引き上げは3カ月ぶり。飯島支店長は会見で、観光客数と県民の外出機会の増加が続いていると指摘し、「経済活動の水準が高まってきている」と述べた。
沖縄では、これまで新型コロナウイルスの感染状況や行動制限などの影響で、景況判断も一進一退を繰り返してきた。しかし、今年の春以降は全国的にも行動制限が緩和。同支店の判断も、4月と7月の2回わたって引き上げられた。
今回の景況判断は、▽入域観光客数が引き続き増加傾向にあること▽企業の景気判断を示す「短観」でも回復がはっきりしてきたことーなどが理由。また、物価は上昇しつつあるものの、コロナ下で抑えられていた消費が回復する「ペントアップ需要」も続いているという。
飯島支店長は、「コロナ前の水準に戻ったとは考えていないが、相当低い水準にあったところから、通常の景気状態に戻ってきているとは言える」と説明した。
個別の項目では、観光を「持ち直している」に引き上げた。入域観光客の増加により、主要ホテルの客室稼働率も夏から秋にかけて20~30%程度だった20年度、21年度から、直近は台風の影響を受けつつも50~60%まで回復していることを考慮した。
また、個人消費も「緩やかに増加している」に上方修正した。「ペントアップ需要」などにより、百貨店・スーパー販売額(全店舗)は、前年比12.9%増、コンビニ販売額(同)は同12.7%増となった。
企業が二極化の可能性も
飯島支店長は、県内では景況の回復とともに賃金の上昇圧力が高まっていると指摘した上で、ペントアップ需要を超えて継続的に消費の回復が続くかについては「実質賃金のプラスが継続するかどうかがポイントになる」と語った。
また、為替市場で進む円安については、外国人観光客の水際対策が緩和されたことに伴い、本格的な回復が見られていないインバウンドの入域と消費の増加にプラスに働くとの認識を示した。
一方、今後の企業経営には資源高と人件費の上昇が影響するとも強調。「将来を見据えて生産性の向上に取り組んでいる企業は、大企業や中小企業にかかわらず生き残っていけるが、そうでない企業はだんだん厳しくなる二極化が起こる可能性がある」と語った。
同支店では、先行きについて、「持ち直しが続くとみられる」と分析。飯島支店長は、新型コロナによるリスクは緩和しつつある一方で、資源価格上昇が経済を下押しするリスクは高まっているとした。
(記事・写真 宮古毎日新聞)