「簡単に言うと、びっくり」ボリビア県系人と図書館長が親戚 偶然判明
- 2022/10/15
- 社会
「簡単に言うと、びっくりしました」
14日、沖縄にルーツを持つ県系人らが参加する日系社会研修(JICA沖縄主催)の一環で、那覇市の県立図書館で開かれた研修員のルーツ調査結果報告会。南米3カ国から来た県系人8人の沖縄ルーツを歴史資料を活用して図書館職員が調べ、個別にスライドを使って親戚がいる市町村や海外移民した祖先などを発表している中、最後に報告されたボリビア・サンタクルス出身の知念・ルイス・カズオさん(47)の番でサプライズが待っていた。
曽祖父同士が兄弟だった?
知念さんのルーツは本島最北端の市町村である国頭村の与那。母の知念栄子さんや祖父の知念良成さんらが1961年、琉球政府の第11次計画移民団の一員としてボリビアに移民し、自身は現地で生まれた。
発表中、図書館職員が研修部屋の隅にいた同図書館の宮城威(たけし)館長を呼ぶと、館長が前に出てきて、マイクを握った。「私の両親は与那出身で、知念さんの祖先とは番地が近いです。私の曽祖父は知念良猷(りょうゆう)と言って、知念さんの祖父である良成さんの父とは兄弟かと思います」
親戚である可能性が高いことに、一様に驚いた様子の参加者たち。自然と拍手が沸いた。びっくりした表情の知念さんは嬉しそうに言った。「考えもしない所で遠い親戚に会えた。この場を借りて、皆さんにありがとうと言いたいです」
「もしかして知ってます?」が始まり
約1カ月に渡って研修員が沖縄が培ってきた様々な技術やノウハウを学ぶ日系社会研修には、今回はアルゼンチン、ボリビア、ブラジルから計9人が参加。コロナ禍でオンラインでの実施が続いていたが、約2年ぶりに実際に研修員が沖縄に来て実施している。研修生のルーツ調査の試みは、10月31日~11月3日に開かれる「第7回世界のウチナーンチュ大会」の関連イベントとして開かれた。
知念さんと宮城館長が親戚関係にあることが判明した経緯については、県立図書館でルーツ調査・相談サービスを担当する資料班主査の原裕昭さんが説明する。
「館長が与那出身だということは知っていました。知念さんのルーツを調べたら与那だったので、館長に『もしかして知っていますか?』と聞いてみたら、館長が親戚に確認してくれて、その結果、知念さんと親戚だと分かりました。地元のネットワークはすごいですね」
研修が終わった後も話し込んでいた知念さんと宮城館長。
「今は道も良くなって国頭も近いから、また行ってみてください」(宮城館長)
「そうなんですか。実は1998年に沖縄に来た時に、与那であったバレーボール大会に出たことがあるんですよ」(知念さん)
「郷友会がやってる大会かな。今、私は郷友会の副会長してますよ」(宮城館長)
2人とも笑顔が絶えなかった。
「世界のウチナーンチュ大会」の関連イベント
JICA沖縄の担当者は「沖縄にルーツのある方々にとって、こんなに丁寧に調べてもらえたことは本当にうれしいと思います。まだ研修は始まったばかりのタイミングなので、研修員の意欲も上がります」と感謝を述べた。
県立図書館では、海外移民した親戚の足跡を辿るサービスを実施しているほか、今年7月には戦前移民5万人以上の渡航記録をまとめたインターネットサイト「沖縄県系移民渡航記録データベース」も公開した。
原さんは「データベースは地球の裏側でも、どこからでもアクセスができます。どんどん使って、沖縄を感じてほしいと思います」と利用を勧めた。