コンクリート建築の父と大宜味大工のマスターピース 旧大宜味村役場庁舎
- 2020/11/5
- 社会
沖縄本島北部に位置し、長寿の村、自然豊かで長閑な村としても全国的に有名な大宜味村には、沖縄の建築史においてとても重要な建物がある。
それは、今も全く色褪せることのない、レトロな洋風の佇まいが強く漂う大宜味村旧役場庁舎。現在も大宜味村役場のすぐ目の前にあり、その存在感を顕にしている。
訪れたことがある読者には「そうそう!」と思ってもらえるかと思うが、その歴史的建造物を目の前にすると、え?ここはどこ?時代はいつ?と感じてしまうほどのタイムスリップ感覚を味わえるのだ。
それもそのはず、何と現存するコンクリート建造物としては「沖縄最古」の建物だと言われている。
建築された年は大正14年。西暦でいうと1925年、何と今年で95歳、100歳まであとわずか!という歴史ある建造物なのである。
その旧庁舎跡は今でも大宜味村の村史編纂室、資料室として利用されており、一般の見学も可能なのだが、昨今のコロナ状況下で内部見学は当分見合わせておられるようだ。しかし外観を見学するだけでも、その物凄い存在感を見て感じ取ることができる。
異国情緒溢れる外観、そして沖縄最古のコンクリート造り。
実はそこには、その当時のいろんなタイミングが重なりに重なりあって生まれた、ある意味時代背景の偶然が起こさせた奇跡の出会いがあったである。
若き技師の国頭赴任
当時、今から100年近くも前の話なので、沖縄の庶民にとっての家屋はまだまだ茅葺きが当たり前、すごく裕福な世帯で瓦葺きという時代。日本本土において、ようやくコンクリートが入ってきたかそこらの時代である。