「幸せな選手生活」東京五輪空手形金メダリスト 喜友名諒さんが引退会見

 

師の佐久本氏、清水氏 「指導者」としての活躍に期待

たくましい弟子たちの功績や今後への期待を語る佐久本嗣男氏(右)

 3人は今後、自らも鍛錬を続けながら後進の育成に当たる。喜友名さんは「2人と一緒に学んできた技を継いでいくために、しっかり精進していきます。これからもずっと共に歩む仲間だと思っています。空手界のためにできることを考え、子どもたちに夢や希望を持つきっかけを与える場をたくさんつくっていけたらと思います」と展望した。

 3人が学生の頃から指導を続けてきた佐久本氏は「いよいよこの日がやってまいりました。非常に複雑な心境でございます」と述べた一方で、「この3選手に関しては一通りのことはやってのけたと思っています。世界選手権、アジア選手権、そして東京オリンピック。予定通り、圧勝しました。それは本人たちが毎日しっかり稽古をして、気を抜かないで1日1日を過ごしてきた成果だと思います。非常に晴れ晴れとしている。少し肩の荷が下りたのかなと思います」と嬉しそうに話した。

 穏やかな表情を浮かべ、こうも語った。「選手として経験した苦しいこと、良かったことが全て3人の人としての成長のエキスになり、これからコーチとしての第一歩を踏み出すと思います。そして、3人に代わるいい選手を彼らが育てると思います。とても楽しみにしています」。

 自身は75歳となるが、今後に向けて「『もう育成はしない』と言葉では言いつつも、この欲張りな人間は、また次の選手を育てようとしてる。『どこでこの生活が終わるのかな』と時々思ったりもしますが、人生が終わる時には道着を着けて、正座をし、それで人生が終わったらいいのかなと思います。それくらい空手が好きです」と指導への情熱を語った。

指導者としての道へ歩み出す3人にエールを送る清水由佳氏(左端)

 清水氏も「連覇を報じられることが多くて順風満帆に過ごしてきたかのように見えますが、道着を脱げば一人の普通の青年です。いいことだけでなく、つらく苦しい時も思い出に残っています。それでも諦めず、10年以上日の丸を背負ってきた。本当に頑張り屋です」と3人を称賛。次の人生へと大きな一歩を踏み出す後輩に向けて「佐久本先生から学んだことを全員が胸に刻み、それぞれの立場でそれを皆さんのために反映できたらいいのかなと思います。今後彼らがどういった生き様を見せるのか、そっと見守っていただきながら、彼らに大きく成長していってほしいです」とエールを送った。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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