髙原選手兼監督「甘さがある」JFLの沖縄SV、ホーム開幕戦に敗れて2連敗

 
後半のアディショナルタイム、高い打点のヘディングシュートでゴールを決める沖縄SVのFW一木立一=3月19日、南風原町の黄金森公園陸上競技場(長嶺真輝撮影)

 今シーズンから日本フットボールリーグ(JFL)に初参戦している沖縄SVは19日、南風原町の黄金森公園陸上競技場でクリアソン新宿と今季第2戦を行い、1ー2で敗れた。550人の観客が来場したホーム開幕戦を白星で飾れず、2連敗となった。攻撃では度々相手ディフェンスを崩す場面があったが、守備のほころびが最大の敗因となった。

裏突かれて先制許す 最終盤に一木が意地の一発

中盤でボールをコントロールするMF秋本和希主将

 序盤からMF秋本和希主将とMF荒井秀賀を中心に攻撃を組み立て、相手ディフェンスの裏へのパスやクロスからの攻撃で何度もゴールに迫った。しかしラストパスや最後のシュートの部分で荒さが目立ち、なかなか得点につながらない。

 すると前半38分、相手に左サイドからの縦のボールでディフェンスの裏を突かれ、ゴールラインぎりぎりで折り返したところを押し込まれて先制点を挙げられる。さらに後半35分にはDF米澤哲哉が簡単なボールの処理を誤ってパスカットされ、終盤で痛い追加点を許した。

 それでも沖縄SVは諦めない。アディショナルタイム。右サイドで深い位置までボールを運び、マイナスのパスを受けた選手兼監督のFW髙原直泰が浮き玉を放り込む。ディフェンスラインが一瞬上がった隙を突いて飛び出したFW一木立一が高い打点でヘディングシュートを放ち、ゴール左隅に流し込んで意地の一点を奪った。しかし、残り少ない時間で追い付くまでには至らず、逃げ切られた。

最後の攻撃でゴールを割れず、ピッチに横になった状態で天を仰ぐFW髙原直泰(手前)ら。直後に試合終了の笛が鳴った

 今季初ゴールとなった一木は「この一週間、あの形は得点に繋がると監督も言っていたので、監督にボールが入った瞬間に中への動き出しというのはすごく意識しています」と語り、得点シーンは準備を重ねてきた動きだったことを明かした。一方、試合の評価については「自分たちがやりたいことは試合を通してやれてはいたんですけど、ああいうお粗末な失点はなくさないと今後勝つのは厳しい。攻撃も崩せてはいるけど、ラストパスや最後のシュート精度はもっと上げていかないといけないです」と反省の言葉が多く聞かれた。

縦のボールへの対応、球際の弱さ 守備に課題散見

 13日のシーズン開幕戦となったHonda FC戦でも1ー3で敗れ、失点の多さが目立つ沖縄SV。特に中盤から縦にボールを通されるもろさや、ゴール前での球際の弱さは課題だ。髙原も監督会見での第一声で「開幕戦と一緒で、こんな形で失点してるチームはまずこのリーグで勝つことができない。それに尽きるかなと思います」と強い口調で語った。

試合後の会見で厳しい言葉を繰り返す髙原

 1点目の失点シーンを振り返り、「裏を取られたところで相手が頑張ってクロスを折り返したけど、そこの守備でもっと体を寄せられたんじゃないかとか、そういうちょっとしたところの差が出るんです。それをいかに当たり前にできるか。一つ(JFLへと)カテゴリが上がるだけで、それが失点に繋がるんです。個人の意識の問題として『これくらいだったら大丈夫かな』ていう甘い考えが選手にあるんじゃないかなって、正直思ってます」と厳しい言葉が続いた。

 昨シーズンまで戦っていた九州リーグとは違い、JFLはほぼ毎週ホーム&アウェー方式で試合があり、試合間の日数が少ない。それを念頭に「去年と違って改善する時間もない。これでは『前よりは良くなってるよね』という話だけで1年が終わってしまう」と危機感を語り、26日にアウェーである高知ユナイテッドSC戦に向けて「プラスの方向に向かえるようにやっていくのが自分の仕事。しっかり来週に向けて準備したいと思います」と前を向いた。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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