平均白化率が92.8%→50.2%に大幅改善 石垣島沖のサンゴ礁海域「石西礁湖」
- 2023/3/19
- 社会
環境省は14日、石垣島沖にある国内最大のサンゴ礁海域「石西礁湖(せきせいしょうこ)」を12月前半に調査した結果、全31調査地点の平均白化率が50.2%だったことを発表した。9月に実施した前回調査の92.8%から大幅に改善した。台風の襲来により海水がかき回され、水温が低下したことなどが影響したと見られる。
調査は環境省沖縄奄美自然環境事務所が12月2日から13日まで実施。石垣島、竹富島、小浜島、西表島、黒島、新城島周辺海域に50m四方の調査地点を31カ所設定し、スポットチェック法(15分間のスノーケリングを行い、被度や白化率等を目視観察する方法)を用いて調べた。
一部が高水温に強い種に変化?
平均白化率50.2%のうち、一部白化・一部死亡・全体的に色が薄い状態の「薄色」は9月調査から18.2ポイント減の24.5%、全体が完全に白化している状態の「白化」は30.9ポイント減の1.4%となり、いずれも大幅に減少した。一方で、9月時点で「白化」だった群体がいくつかの地点で死亡し、全体が白化により死亡した状態の「死亡」は6.6ポイント増の24.3%となった。
大規模な白化現象が見られた2016年12月時点と比較しても、今回調査の方が白化していない「健全」と「薄色」の割合が高くなった。
被害が抑えられた要因について、発表資料では「2022年9月の台風11号(ヒンナムノー)および12号(ムイファー)によって表層の温かい海水が深場の冷たい海水とかき回されて海水温が低下したことが影響した可能性があることや、いくつかの地点では2016年の大規模白化以降にサンゴの生育型(優占するサンゴの種類)が高水温に強い種に変化していることが影響した可能性がある」としている。
「被度」は低下 夏季の高水温が影響か
一方で、着生可能な海底面の範囲のうち、生きているサンゴ群体が占める範囲の割合を示す「被度」は9月調査比で4.6ポイント減の17.0%となった。
低下要因は単一ではないと前置きした上で「サンゴの病気やオニヒトデ等の食害生物による影響なども考えられるが、それらはあまり確認されておらず、今回の被度の低下は、夏季の高水温による白化の影響が大きいと考えられた。9月の台風11号および12号による物理的な損壊等も影響している可能性がある」と分析した。
今回の調査で薄色や白化に分類された群体は今後、回復、または死亡すると見られる。今後は例年のモニタリング調査の一環として実施する追跡調査のほか、環境省生物多様性センター(山梨県富士吉田市)が実施している「モニタリングサイト1000サンゴ礁調査」の中で石西礁湖の近隣海域も含めて把握を進めるという。
各種の結果は、石西礁湖自然再生協議会等においても報告する予定。