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街へ繰り出す小さな写真家たち 「なはーとダイアローグ」でカメラを楽しむWS
- 2023/3/2
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那覇文化芸術劇場なはーとで、市民や表現者を中心に、行政も交えながら地域と芸術のあり方を巡って対話を重ねるイベントやシンポジウムを行ってきた「なはーとダイアローグ2022-23」。その第4回目が2月23日に開催された。
今回は写真家の上原沙也加さんとフォトアーティストの髙橋健太郎さんが講師を務め、「カメラを目にして街を見てみよう!」と題したワークショップを実施。2人の講師のレクチャーを受けた子どもたちは、貸し出されたカメラを片手に街へ繰り出し、レンズを通して見た世界を捉えようと夢中になってシャッターを切っていた。
GR片手に街へ
ワークショップには公募で集まった小中学生20人が参加した。配布されたカメラはRICHOの「GRⅢ」という機種のコンパクトデジタルカメラ。単焦点レンズでズーム機能がなく、子どもたちが自分の身体を動かしながら被写体との距離をとらなければならないカメラだ。指1本ワンタッチで手軽に撮れるスマホとは違い、露出(明るさ)や光の向き、ピント合わせなどの要素にも少しシビアに向き合う必要がある。
「大人たちは気付いていないのに、自分だけが気付いてることってきっとあるよね。僕らでも及ばない想像力が君たちにはあります。それを使ってたくさん写真を撮ってください」という髙橋さんの言葉を号令がわりに、子どもたちはカメラ片手に街へ出た。
写真で自由な物語を紡ぐ
撮影場所はなはーとから徒歩5分程度の緑が丘公園。この日は気持ちの良い青空が広がり、祝日だったこともあって公園には多くの家族連れや子どもたちの姿があった。カメラを手にした子どもたちは4~5人のグループに分かれ、散歩中の犬や新緑混じりの桜、気まぐれに動く野良猫、草原の広場を舞う蝶など、興味の赴く方向にレンズを向けて、思い思いにシャッターを切った。
暫しの撮影時間を終えると、子どもたちはなはーとに戻って自分の撮った写真の中から「お気に入りの1枚」を選び、その写真の撮影意図をグループの他のメンバーに説明する時間が設けられた。「自分で撮った写真を説明するのは、実は難しいんです。他の人に見せることで言葉をもらえたり、違う意味が与えられたりするんですよ」(髙橋さん)
この頃になると子どもたちはすっかり打ち解けていて、年齢関係なく冗談を言ったり、はしゃいだりしながらそれぞれの写真について話し合うゆるやかな時間が流れていた。
最後は参加した全員が自分の選んだ写真について、一言ずつ物語を紡いでいくゲームを行った。
自身の写真を目の前にして、素朴な1文を読み上げる子もいれば、脈絡のないアクロバティックなフレーズを繰り出す子、大人たちから「おぉーっ」と感心の声が漏れるような表現を綴る子もいて、子どもたちの人数分の行数の散文がライブで出来上がると、見守る保護者たちからも大きな拍手が起こった。
「理解し合うことを続けて」
ワークショップのまとめでは、上原さんが「写真を撮って、たくさんの言葉を考えてみたことで、目の前の物事の色んな面が見えてきたんじゃないかと思います」と子どもたちに語りかけ、「1つのものに色んなことを見出してほしいし、これからもたくさんの写真を撮ってほしい。珍しいことでも、毎日見ている風景でも、10年後、20年後には意味のある財産になります」と言葉を継いだ。
「写真は想像力が試されるし、それをフルに生かすことも出来るメディアです」と髙橋さん。
自分や他の人の写真について、この日出会ったばかりの友だちと話し合い、ストーリーを創造/想像した経験に触れながら「自分の話を他人に聞いてもらうこと、他の人の話を受け入れていくことで世界はどんどん平和になっていくと思います」と続け、「理解し合うことをこれからもずっと続けていってください」と話した。
■関連リンク
☆那覇文化芸術劇場なはーと WEBサイト
☆芸術は「確かな希望を与えてくれるもの」 文化芸術を巡る対話、なはーとダイアローグ ‖ HUB沖縄
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