急成長中の国産ジン、気鋭の造り手たちが沖縄に集結!「DistiRally NEXT 2023」

 
ジンに使用するボタニカル

 仲里さんが挙げたもののほかにも、クロモジ、キハダの実、マートル、紅茶、いりごま、ヨモギ、月桃、ごぼうなどのボタニカルを使用する。また、今回はベースとなるスピリッツに瑞穂酒造のジン「ORI-GiN」で使用している泡盛ではなく、県産黒糖で造ったラム「ONERUM」を選定しており、珍しいラム・ベースのジンが仕上がる予定だ

 交流会では、仲里さんがボタニカルの種類に応じた香りの抽出方法や原酒のブレンドなどについても詳しく説明。真剣な眼差しでメモを取りながら聞く造り手もいた。また、会場には各社が持ち寄ったボタニカルを抽出した原酒が並べられており、造り手たちがそれぞれの香りを確認しながらニュアンスや構成について議論を交わしていた。

「ジンはまだまだこれからです。全国の造り手の皆さんと情報交換をしながら、沖縄を拠点にしつつ地域性を生かした楽しさや魅力を発信していきたいです」(仲里さん)

日本のジン・カルチャーを盛り上げて世界へ

 イベントを主催する千雅代表の山本修士さんは、今回のホストに瑞穂酒造を選んだ理由について「ジンやラムの製造も含めて、仲里さんがとても面白い取り組みをしているし、データの蓄積もありますからね」と話した。また、現在の日本のクラフトジン業界は「イチから始めて、技術・情報の収集と蓄積に困っている造り手も多い」と事情を説明する。

「造り手同士で刺激し合う環境をつくっていきたい」とイベント主旨を説明する山本さん

「このイベントは業界全体のクオリティ向上と進歩を加速するため、色々な経験値を上げるための交流なんです。造り手はライバル同士ではありますが、だからと言っていがみ合う理由は無いですからね。みんなで集まって楽しみながら酒の文化を盛り上げて、『日本のジン』として世界に出せるレベルに持っていきたいですね」

 今回参加した19社の造り手は、瑞穂酒造 (沖縄・ホスト)、尾鈴山蒸留所(宮崎)、養命酒製造(長野)、小正醸造(鹿児島)、大和蒸溜所(奈良)、高田酒造場(熊本)、虎ノ門蒸留所(東京)、薩摩酒造(鹿児島)、HOLON(東京)、楠乃花蒸溜所(佐賀)、横浜ベイブルーイング(神奈川)、越後薬草(新潟)、エシカル・スピリッツ(東京)、深川蒸留所(東京)、沼津蒸留所 (静岡)、Alembic大野蒸留所(石川)、若潮酒造(鹿児島)、舞輪源蒸留所(京都)、いずみや酒店(千葉、沖縄)。

 これからジンを製造予定で現在は未発売の造り手も含まれているが、蒸留酒ラバーであれば、造り手の名前から個性豊かなボトルデザインが浮かぶ人もいるだろう。余談になるが、交流会の導入でそれぞれの造り手が自己紹介した際、いつも味わっている様々な美酒の名が飛び出し、それを手掛けている人たちが目の前にいることに取材中にも関わらず興奮を禁じ得なかった。

 個性的なボタニカルとともに、志を同じくする造り手たちのクラフトマン・スピリッツが投入されたオリジナル・ジンの完成と、これからの日本のジン・カルチャーの未来に期待が膨らむ。

■関連リンク
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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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