進むか沖縄のDX!?浦添市では市民向けアプリ制作講座も
- 2022/12/22
- 社会
ローコードやノーコードの発達により、ある一定レベルの技術は専門教育を受けなくても、比較的短い学習時間で習得できるようになった。もちろん、週2日の3カ月で簡単に技術者になれる分野ではないが、宮城さんは「入口として参加してもらって、次のキャリアを目指してもらえたら」と語る。
沖縄にも迫る「2025年の崖」
好む好まざるに関わらず、企業がデジタル分野でシステムの内製化を推し進めなければいけない未来が進んでいることも指摘される。
前述の知念室長は「企業のシステム担当者がどんどん定年を迎えてしまって去ってしまうと、その企業に(保守管理などの)ノウハウを持った人がいなくなって、何か問題が生じた時には誰も対応できない、という事態が迫っています」と話す。いわゆる「2025年の崖」問題だ。「ですので、県外ではシステム開発や管理を自社でやっていこうという流れが加速していますが、沖縄ではまだそういった動きはほとんど見られません。今後はさらに企業関係者の関心も促していきたいと思います」
県外では「DX祈願祭」も
企業だけではなく、行政の意識改革も求められる。沖縄県では、二次利用が可能な情報「オープンデータ」の行政による公開が進んでおらず、デジタル庁の資料によると、41市町村中11市町村(6月28日時点)のみでの実施にとどまっている。その割合は26.8%と全国最下位。一方で実施率100%だったのは京都、岐阜、島根、青森など10府県に上り、全国平均では71.0%だったことから、沖縄県は断トツの最下位だ。
DX化の全国的な機運の高まりが、まさかの「祈願祭」として発露した例もある。名刺アプリ「Eight」の運営などを行うSansan株式会社(東京都)は、「紙書類に依存した業務で発生するトラブルをお祓いし、来年のDX推進を神社で祈願する」として「Sansan DX祈願祭」を12月20、21の両日に都内で執り行った。
同社がビジネスパーソン1000人に対して11月に実施した調査によると、8割以上の人が「2023年はもっと業務のデジタル化やDXを推進してほしい」との願いを持っているという。その背景には「書類やファイルが膨大にあり特定のものが見つからない」「FAXを送信後、無事届いたかどうかを電話やメールで確認する」などの手間や“紙トラブル”がある。
技術革新で「使う」から「作る」へ
DXをうまく応用して業務の効率化や生産性の向上などを目指しつつ、既存の手法で仕事を進めていた人が取り残されずにメリットを享受できるようなバランス感覚が求められることも事実だ。技術革新が進む中で、電話が生まれ、FAXが生まれ、メールが生まれ、スマホが生まれ、「最新のもの」はいつしか「当たり前のもの」になってきた。今押し寄せている技術革新の波はこれまでとは一味違って「アプリやシステムを自分で作る」というマインド面にまで踏み込んできている。「使う」から「作る」へと広がったデジタルやITとの向き合い方そのものが、主体的に社会を良い方向に導こうという機運を高めている。