溢れる沖縄への思いと熱気が爆発 世界のウチナーンチュ大会閉幕
- 2022/11/5
- 社会
ラテングルーブで客席はダンス・カーニバル
閉会式の後に行われたグランドフィナーレを飾ったのは、「紫」「ディアマンテス」「BEGIN」という沖縄“レジェンド級”のアーティストたち。既に熱気がほとばしっていた客席のテンションの火に盛大に油を注ぎ、この日最大級の盛り上がりとなった。
ノイジーなハモンド・オルガンの独特な音色と、エッジーなギターのリフとともに登場したオキナワン・ロックの代表的存在・紫。70年代から演奏し続けているブレないハード・ロックを重厚感たっぷりにパフォーマンスした。
終盤の展開に波の音と沖縄民謡「なんた浜」のメロディが組み込まれたプログレッシブ・ロック的な楽曲「Mother Natures Plight」や、代表曲「Double Dealing Woman」を繰り出して存在感を見せつけた。
続いて登場したディアマンテスは、のっけからリズミカルなガットギターのカッティングでラテン全開のグルーブ空間を作り出す。ボーカル・アルベルト城間さんの「ウーノ!ドス!トレス!」の掛け声でバックの楽器隊とホーンのメイン・リフが一斉に鳴り出して、客席のボルテージは急上昇。1曲目から「勝利のうた」で、客席がカーニバル会場に一変した。
スペイン語とウチナーグチで「ようこそ」と歓迎の言葉を口にしたアルベルトさんが三線を手にすると、ディアマンテス風「ヒヤミカチ節」へ。跳ね回るような軽快な三線の音色に、会場が沸く。アルベルトさんがペルー生まれの県系3世ということもあり、心なしか赤いTシャツを身に着けたペルーの人たちが集まったエリアの熱狂ぶりが段違いに見える。
その後も「片手に三線を」「オキナワ・ラティーナ」を立て続けに演奏。客席では立ち上がってその場で立って踊るだけでは我慢できず、様々な国の人たちが手を取り合ってダンスしながら通路を練り歩くミニ・パレードが散発し、「これぞ世界のウチナーンチュ大会」という光景が広がった。
転換の束の間には、それぞれの国の人たちが自身の国名をコールして拍手と歓声で沸き上がり、どこからともなく始まったウェーブで会場全体で楽しみを作り出す場面も。抑えきれない喜びと多幸感に満ちた雰囲気は、その場にいるだけでも気分が高揚する。
また、“沖縄喜劇の女王”仲田幸子さんがビデオメッセージで特別出演。「皆さま方、コロナはさちこがたっぴらかしたので、安心して楽しんでくださ~い」と笑顔でピースする映像が流れ、会場が笑いに包まれた。
大トリBEGINで大団円
そして大トリはBEGIN。演奏前に、開口一番「皆さん、おかえりなさい」とボーカルの比嘉栄昇さん。「長い移動時間、腰もチビ(お尻)も痛かったでしょ」と海外からの参加者をねぎらい、ひと笑い。「思いがあれば、いつでもウチナーに帰って来れます」と話すと、ハワイで作ったという「ウルマメロディー」からスタート。ステージにはフラダンサー、会場グラウンドには琉球祭り太鼓の面々も加わって豪華なパフォーマンスで歌い出した。
その後は「三線の花」「海の声」「オジー自慢のオリオンビール」と“オキナワン・クラシック・ソング”と称してもいい代表曲のつるべうちで、客席では大きな振りの手拍子や、カチャーシーを踊る手が咲き乱れた。続けて「皆で集まれたことを祝って」と比嘉さんが一言添えて、「かりゆしの夜」をことほぐように歌唱する。
客席では多くの人たちがスマホのライトを手に持って揺らし、比嘉さんの言葉とメロディ、そしてBEGINの音楽を身体にしみこませるように受け止めている。
そしてステージ終盤。代表曲中の代表曲「島人ぬ宝」では、観客全体からも「イーヤーサーサー」と合いの手が入る。比嘉さんの歌声、楽器の音色、太鼓の律動、手拍子、指笛が渾然一体となり、穏やかで明朗な雰囲気が会場を包み込んだ。
最後は他の出演者たちもステージに迎え入れ、ブラジルに移民した最初期の日本人たちが耳にしたとされる「マルシャ」のメドレーで畳み掛ける。疾走感のある曲を次々と披露する最中に花火が打ち上がり、大歓声と拍手の中で大団円を迎えた。
コロナ禍の渦中の今大会では、延期も含めて例年とは違いオンラインを活用するなど、新たな対応も組み込んで今できる形でウチナーンチュのつながりを再確認し、沖縄への思いと連帯の喜びを分かち合った。
ただ、次回までの数年の間にコロナ禍が完全に収束している保証は無い。各国県人会のあり方や沖縄とのつながり方、そして次世代への継承も含めて、ウィズコロナ・アフターコロナも視野に入れた展開の仕方も考慮する必要があるだろう。
次回の第8回ウチナーンチュ大会は2027年に開催予定となっている。
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