「ラウェイ」王者の渡慶次、メインで快勝 沖縄初上陸の総合格闘技「DEEP」

 
相手の顔面に右パンチをヒットさせる渡慶次幸平(右)=10月30日、沖縄市のミュージックタウン音市場(長嶺真輝撮影)

 沖縄初上陸となる総合格闘技イベント「DEEP(ディープ)」が10月30日、沖縄市のミュージックタウン音市場で開催された。多くの沖縄出身選手が参戦し、メインイベントを務めた72kg以下級(5分2ラウンド)の渡慶次幸平(豊見城市出身/クロスポイント吉祥寺)は、コンゴ出身のデオ・レバナ(K-Clann)に2ラウンド50秒でTKO勝ちを収め、地元開催に華を添えた。

打撃で圧倒 ミャンマー国旗手に笑顔

マウントの状態で連打を浴びせる渡慶次(上)

 2017年6月から「世界一危険な立ち技格闘技」と称されるミャンマーのラウェイを主戦場とし、世界王者に君臨した経歴を持つ渡慶次。この日は自身より8cm身長の高い相手に対し、序盤から打撃で圧倒する。

 リーチのあるレバナに対し、活路を開いたのは左キックだ。開始2分過ぎ、強烈なローとミドルを浴びせ、下に意識を集中させたところで顔面にハイキックをヒットさせた。グラついて倒れた相手にすかさず上から覆いかぶさり、マウントの状態でパンチを連発。1ラウンドで仕留めることができなかったが、優勢を保ったまま後半戦に突入した。

 迎えた2ラウンド目。開始から30秒ほどで再び左のミドルキックを脇腹に突き刺し、倒れた相手に対して上から右肘を連打。レフリーが止める形で試合終了のブザーが響いた。

 終了後、ミャンマーの国旗を手に、傷だらけの顔でくしゃっと笑った渡慶次。マイクを握り、「こんなちんちくりんをDEEP沖縄初開催のメーンにしてくれて本当にありがとうございます。東京が長くて15年くらいになりますが、やっとこうやってメーンで呼ばれる選手になって戻ってきました」と感慨深そうに語った。

 現在練習拠点としている東京の吉祥寺で地元の子ども食堂とコラボ企画をしたり、ラウェイ参戦を機に繋がりのできたミャンマーで学校建設に関わるなど、社会貢献活動にも力を注いでいる。「渡慶次はこれからも綺麗事をどんどん形にしていくので、どうぞ応援よろしくお願いします」と呼び掛けた。

GACCHI 壮絶な打ち合い制す

壮絶な打ち合いを演じるGACCHI(左)とBAGGIO

 ベテラン対決となったライト級のGACCHI(ALIVE沖縄/SHIMAZILIANS)対BAGGIO(フリー)は壮絶な打ち合いになった。

 1ラウンド目から立ち技で体力を削り合う展開。2ラウンド目に入るとGACCHIがパンチや膝蹴りをヒットさせるが、BAGGIOは倒れない。残り2分を切ると、互いに動きは鈍りながらも激しくパンチを交差させ続けた。鬼気迫る表情での打ち合いを前に、会場のボルテージは最高潮となり、「いけいけ!」「倒せ!」と声援が湧いた。

 この日の”ベストバウト”とも言える内容で、試合終了のブザーと同時に会場は盛大な拍手や指笛に包まれた。判定は2-1でGACCHIに軍配が上がった。

 先にマイクを握ったBAGGIOは「本当に悔しいですが、GACCHI選手の気迫と気力に負けました。本当に気持ちの入ったいい選手でした。自分は今年で45歳のロートル(年寄り)ファイターですが、まだまだやめません」と断言し、盛大な拍手を浴びた。

 それを受け、GACCHIは「今年で38歳になります。年齢も年齢で、もうそろそろやめるかと思ってましたが、BAGGIOさんは45歳。自分もまだまだやめられない。もっと勝ち星あげていこうと思います。今後とも自分を追っ掛けてきてください。応援よろしくお願いします」と語り、また拍手が起きた。

エキシビジョンマッチを戦ったにっせー(右)とケイト・ロータス

 イベントではその他、唯一の女子対決となった沖縄出身のにっせー(チームにっせー/アローズエンタテインメント)対ケイト・ロータス(KING GYM KOBE)のエキシビジョンマッチや、砂辺光久(reversal Gym OKINAWA CROSS×LINE)&花澤大介(総合格闘技・フィットネスstudio Will)対BJ(BJ MMA SCHOOL)&浦崎孝俊(ALIVE沖縄/SHIMAZILIANS)のグラップリングタッグマッチなども行われ、会場を盛り上げた。

グラップリングタッグマッチを戦った4人
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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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