溢れる沖縄への思いと熱気が爆発 世界のウチナーンチュ大会閉幕

 

 たくさんの席が埋まったスタジアムの客席にはためく色とりどりの国旗に、自分たちの国の名をコールして沸き、夕空に両手を突き上げて弾けんばかりの笑顔で仲間たちと喜びを分かち合う人たち。沖縄とラテンのリズムに身体が動き出し、踊り出し、歓喜の熱気と太陽のような朗らかな感情で満たされた会場。

 11月3日、「第7回世界のウチナーンチュ大会」の閉会式が那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で行われた。10月29日から県内各地で様々な催しが繰り広げられた4日間の祭典に幕が下りた。閉会式には海外や県内外から7,699人が参加。沖縄、海外参加者、そして次世代や若者の代表者たちがウチナーグチを交えて次々とメッセージを発し、歌やエイサーでは言葉を超えて沖縄の文化を共有した。
 また、グランドフィナーレでは沖縄を代表するアーティストたちが出演し、ただでさえ盛り上がっている会場のボルテージを更に数段階上昇させ、興奮の渦に巻き込んだ。

自身の歴史、ルーツの再発見

 「うちなーのシンカ(仲間)、今こそ結ぶ世界の輪」のキャッチフレーズの下、コロナ禍で1年の延期を経て6年ぶりに開催された今大会。開会式はあいにくの雨で会場が変更され、プログラムを縮小しての開催だったが、閉会式は見事に晴れた。そして会場に集まった人たちの情熱が、晴れすぎて夏のようだった暑さに負けないくらいに発散されていた。

 閉会式で主催者を代表してあいさつした玉城デニー知事は、大会期間中に「皆さまとの交流を通じて多くの感動をもらいました」と笑顔を浮かべ、ウチナーンチュは「強い絆で結ばれた大きな家族『ヤーニンジュ』です」と強調。「世界のウチナーンチュ、また5年後、まっちょいびんどー!」と元気よく締めた。

「私たち海外参加者にとって、この大会への参加はとても感動的なものです」とスピーチした、海外参加者代表として壇上に立ったペルー県人会長の小橋川ラウルさん。その理由について「私たち自身の歴史、私たちのルーツの再発見」ができることだと説明した。
「だから私たちは今、これまで以上にウチナーンチュであると感じます」と力を込め、大会関係者への謝意を示した。

ウチナーンチュは「平和の緩衝」の役割担える

 大会メッセージは、移民の歴史や海外の文化などを学ぶ「ウチナージュニアスタディーツアー」に参加した平田菜乃華さんと知念パブロ明さんが文言を読み上げた。
 世界的なパンデミックで多くの悲しみや苦しみに直面し、さらに世界には争いが存在する中で「わたしたちウチナーンチュは、やわらかな心を持っています」とし、「どこにいても『平和の緩衝』の役割を担うことができます」とアピールした。

 パフォーマンスでは、県出身の男女3人組グループ「green note coaster(グリーンノートコースター)」が大会テーマソングを演奏し、アトラクションでは県出身アーティストたちが首里城復興応援ソング「SYURI NO UTA」を歌い上げた。

 沖縄市出身のラッパー・Rude-αもエモーショナルなパフォーマンスを披露。平和の礎の前で涙を流す祖母の記憶を基に平和への願い紡いだ楽曲「うむい」の歌唱では、観客がスマホのライトを灯して掲げ、光の花畑が揺れた。
 琉球祭り太鼓によるエイサーでは、お馴染み「ミルクムナリ」が流れ出すと、大きな客席から大きな歓声が。勇壮な演舞と、力強い太鼓の音を月夜に響き渡らせた。

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