常設展へ行こう 学芸員が魅力を語る〜県立博物館・美術館 人類学編(1)

 
サキタリ洞で発掘された石器や貝器のレプリカ(沖縄県立博物館・美術館所蔵)

 博物館や美術館の学芸員に常設展の見所や魅力を語ってもらう「常設展へ行こう」。

 今回は県立博物館・美術館で人類学を担当する山崎真治さんと澤浦亮平さんに話を聞く。実は沖縄は日本国内でも有数の化石の産地で、国内最古の人骨化石が発掘されている。
 近年も旧石器時代の大きな“空白”の一部分を明らかにするような発見があり、2人も「沖縄の旧石器時代研究は今非常にホット」と声をそろえ、語りに自然と熱がこもった。

沖縄は旧石器時代遺物の宝庫

 まず山崎さんは、なぜ沖縄で旧石器時代の人骨を含む多くの化石が見つかるのかを教えてくれた。
 沖縄には、サンゴ礁が隆起してできた石灰岩が広く分布しており、石灰岩にはアルカリ分が含まれることから、骨を風化から守る性質があるためだという。一方で、日本本土では、酸性の火山灰で土壌が広く覆われているため、古い時代の骨は残りにくい。このため沖縄以外の地域では1万ヵ所以上ある旧石器時代の遺跡のうち人骨が見つかったのは1ヶ所のみ。これに対し、沖縄県内では10ヵ所ほどの旧石器時代遺跡全てから人骨が発見されている。

 「ただし、沖縄では生活に使用していた道具がなかなか出土しない傾向にあります」と説明する山崎さん。
 そうした状況を踏まえて2009年から着手したのが南城市のサキタリ洞遺跡(ガンガラーの谷)の発掘調査。現在は新型コロナウイルスの影響で一時的に作業を中止しているが、調査は続いている。サキタリ洞遺跡には約4万年前以降の各時代の地層が積み重なった状態でしっかり保存されているのが大きな特徴だという。

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