FC琉球の県産品弁当活動 地域課題への貢献でJリーグが表彰

 
オンライン授賞式で活動を報告するFC琉球の荻原直樹さん(右)=5月10日

 サッカーのJリーグが5月10日、全58クラブの中から社会に幅広く共有したい活動を表彰する「2022Jリーグシャレン!アウォーズ」を開き、J2のFC琉球が地域にある社会課題解決に対してチャレンジしていることを称える「ソーシャルチャレンジャー賞」を受賞した。2021年に取り組んだ「FC琉球県産品&子ども応援プロジェクト」が高く評価された。

 FC琉球を運営する琉球フットボールクラブの倉林啓士郎社長は球団リリースで「プロジェクトを通じてスポーツの力や我々の発信力、地域の様々な関係者を繋ぎ事業を推進していく力を県民の皆様のために発揮できたことは大変うれしいことです」と喜びを語った。5月14日にタピック県総ひやごんスタジアムで行われる栃木SC戦の際に、会場で受賞セレモニーが開かれる。

全58クラブから6クラブを選出

FC琉球のメンバー

 シャレン!アウォーズの開催は今年で3回目。各クラブが日頃から取り組んでいる地域課題解決に向けた活動や協働者との連携、発信力、繋ぐ力など、クラブが持つ価値を十分に発揮している活動を称える目的で実施している。

 今年はソーシャルチャレンジャー賞にFC琉球といわてグルージャ盛岡。国や自治体が掲げる政策を活用して持続可能な活動となるように取り組む「パブリック賞」に松本山雅FCとヴィッセル神戸、記者が自身の媒体で取り上げたいと思う活動の「メディア賞」にカターレ富山とガイナーレ鳥取を選出した。

コロナ禍、子どもの貧困に向き合う

 FC琉球の応援プロジェクトはイオン琉球と協力し、コロナ禍で消費の落ち込んだ県産品11品目を使って「琉球応援弁当」を開発。2021年8月から2022年2月まで販売を行ったほか、おきなわこども未来ランチサポートを通じて沖縄県内各地のこども食堂にも配布した。4月には同サポートに売上金の10%を寄付した。

 県産品の流通促進や、沖縄で社会問題化している子供の貧困問題に取り組み、授賞式においてオンラインで活動報告したFC琉球担当の荻原直樹さんは「地域に応援してもらっているので、地域に還元するため、社会活動に力を入れています。今後も内容を進化させながら続けていきたいです」と力を込めた。

 今後も県産卵で同様な展開を予定しているという。

他メーカー、スポーツチームも関心

取り組みについて振り返るイオン琉球の島袋理奈さん

 授賞式には、イオン琉球の担当者を務めた島袋理奈さんも参加。企画の立案当初は社内での反応はイマイチだったというが、SDGs(持続可能な開発)が世界的に注目を集める中、「利益を出しながら、その一部を子供、地域に還元しましょうと説得した。今までと同じことをやっていても成長はないので、FC琉球さんの強みも生かしながら取り組みました」と振り返った。

 販路に困っている商材に焦点を当てての弁当作りは初めてだったといい、「新しい産地の魅力を再発見できたことは大きい」と話した。取り組みに関心を持った他のメーカーやスポーツチームからも問い合わせがあったとして、「サッカーだけではない広がりができた」と充実した表情を見せた。

 FC琉球は「沖縄とともに強くなる」をスローガンに掲げる。倉林社長は「沖縄県では社会問題として子供の貧困率が全国でも突出して高く、子供支援が大きな課題となっています。サッカーや社会活動を通じて、子供達に夢や目標を持ってもらい、沖縄の未来に貢献できるよう、行政や企業と協力して今後も活動を継続していきたいと考えています」とコメントした。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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