絶滅危惧種ミヤコカナヘビ 宮古高科学部が過去の分布調査で学会誌掲載

 
琉球大学HPより

 世界で沖縄県の宮古諸島(宮古島、池間島、伊良部島、大神島等)にしか生息していない絶滅危惧種「ミヤコカナヘビ」が、1970年代まで人々の身近にいる珍しくない存在だったことを明らかにした沖縄県立宮古高校の科学部の研究論文が「沖縄生物学会誌」の第60号(3月31日発行)に掲載された。

2019年に当時の3年生が調査

琉球大学HPより

 2019年に宮古高校科学部の3年生(当時)7人が、50代~100歳の208人から直接聞き取りを実施していた。その結果、1950年代には多く見られ、1970年代でも回答者のうち2割以上が見たことがあるとした。伊良部島と宮古島の広い範囲で生息が確認され、特に宮古島中央から東寄りの地域で多く見られていたことなどがまとめられた。

 論文を支援したのは、ミヤコカナヘビの保全・普及活動を共同で実施している、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄(沖縄県うるま市)、琉球大学熱帯生物圏研究センター・戸田守准教授、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都、以下WWFジャパン)の3者。

 論文はNPO法人どうぶつたちの病院沖縄と琉球大学の戸田教授が高校生と共に投稿した。調査は環境省生物多様性保全推進支援事業の支援を受けて実施した。

 琉球大学はHPで「ミヤコカナヘビが1970年代までは身近に生息していたことを明らかにした研究発表であるとともに、今後、種の保全策を進める上で重要な示唆に富む内容となっております」とコメントしている。

ミヤコカナヘビってどんな生き物?

環境省HPより

 環境省によると、ミヤコカナヘビは全長がオスで290mm、メスで270mm。全長の75%程度を尾が占めており、頭部を含め非常に細身の体型だ。鮮やかな緑色で、腹側面から腹面にかけて徐々に黄色っぽい色をしているのが特徴だ。昆虫類やクモ類などを食べるという。

 現在では個体数が激減しており、目撃することすら困難だ。開発や農薬散布、外来種(イタチ、インドクジャク等)による捕食がその要因として挙げられている。詳しい生息数も現状では不明のままだ。昨年2月に環境省は「ミヤコカナヘビ保護増殖事業計画」を策定するなど、同種の保護に励んでいる。

保全策につながる研究

 ミヤコカナヘビは1996年に新種として記載されるまでは、別の種である「アオカネヘビ」と混同されていたため、過去の生息状況について知られていることは限られており「どこにどのぐらいいたのか」が分かっていなかった。今回の調査結果は、ミヤコカナヘビの個体数減少の要因を特定していき、同種の保全策につなげることが期待されている。

■論文情報
立津槙斗・神里秀美・徳嶺夏南子・徳嶺美南子・上地翔平・伊川佳那・石川作実・儀間朝宜・権田雅之・戸田守・才木美香, 聞き取り調査に基づくミヤコカナヘビ(爬虫綱:有鱗目)の過去の生息状況. 沖縄生物学会誌 第60号:1-10

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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