沖縄で1カ月間の野球トライアウト 国内初の本格「ウィンターリーグ」とは

 
ジャパンウィンターリーグの発足記者会見。(前列左から)斉藤和巳氏、知花真斗副代表、鷲崎一誠代表、大野倫氏=6月14日、宜野湾市のラグナガーデンホテル(JWL提供)

 11月24日から12月25日にかけ、1カ月間に及ぶ野球の長期トライアウト「ジャパンウィンターリーグ(JWL)」が沖縄を舞台に初めて開催される。国内外から学生や社会人などの選手が集まり、リーグ戦を行う。スカウト陣は日本のプロ野球(NPB)を含め、米国メジャーリーグなど計7カ国から参加予定。プロリーグのオフシーズンに実施するウィンターリーグは海外では馴染み深いが、国内での本格的な実施は初めての試みだ。

 開催目的は陽の目を浴びていない才能の発掘や、参加選手の進路拡大、これまでなかなか実践経験を積めなかった選手に真剣勝負の場を提供することなど。エンターテインメント性も織り交ぜて集客を図り、沖縄の地域振興も見据える。元プロ野球選手の斉藤和巳氏がアンバサダー、沖縄出身で沖縄水産高校や読売ジャイアンツなどでプレーした大野倫氏がゼネラルマネージャー(GM)を務め、注目度は高い。

 主催するジャパンリーグ(那覇市樋川、鷲崎一誠代表)が掲げる、プロともアマとも異なる野球界の「第3のコミュニティ」とはー。

アピールの場増やしマッチング後押し

米国メジャーリーグの球場

 ウィンターリーグは米国やプエルトリコ、オーストラリア、中南米各国などの他、沖縄に近接する台湾でもコロナ禍に入る前までは日本や韓国のチームも参加する「アジアウィンターリーグ」が11〜12月の期間で行われていた。NPBのチームが若手を中心に派遣することもあり、トライアウト以外にも選手が実戦経験を積んだり、レベル向上を図ったりするという目的もある。

 JWLもいずれの目的も兼ねている。NPBの12球団合同トライアウトは1日限りで、野手では打席に立てるのは3回ほどだが、JWLでは120人の参加選手を6チームに分けてそれぞれ22試合ずつを行う。

 1カ月間という期間を設けた根拠について、鷲崎氏は「そもそも、これまでチャンスがなかった選手が来るので、実戦環境がないといけない。本来の実力を発揮するためにはこのくらいの期間が必要だと思っています」と説明する。多くのアピールの場を提供することでスカウト側にとっても選手の実力、人間性をじっくりと評価することができるため、双方にとってマッチングの整合性を高める効果を見込む。

 参加プランは以下の3種類。高校生と大学生は「プロ志望届」を提出完了していることが参加の条件となる。

①全日程

価格:35万円(以下、全て税抜)。沖縄在住者は20万円

②前半日程(11月24日〜12月8日)

価格:20万円。沖縄在住者は10万円

③後半日程(12月9日〜25日)

価格:20万円。沖縄在住者は10万円

 参加料には宿泊や昼食、ホテルから球場までの送迎、インストラクター代などの費用が含まれている。申し込みは11月10日が締め切りだ。

リモートスカウティングも可能「沖縄を世界の登竜門に」

 申し込みは既に国内外からあるという。アマの一線で活躍する選手や本気でプロを目指す選手によるハイレベルなプレーのほか、海外からも米国、ドミニカ、ウガンダなど多様な国からの参戦も見込まれ、世界のパワー野球を体感する貴重な場になりそうだ。

 スカウトは国内のNPBや独立リーグのほか、米国、フランス、イタリアなど、日本を含む世界7カ国から参加予定。「沖縄が世界の野球の登竜門になる」(鷲崎氏)との言葉通り、国内外のさまざまなリーグのチームから声が掛かる可能性がある。

 試合はインターネット上でも配信され、リモートでのスカウティングも可能だ。さらに直接選手を見ることができなくても、選手の評価を定量化(スタッツ、トラッキングシステムでの数値データ、動画解析)することで効率的かつ精度の高いスカウティングを後押しする。

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