中2ボカロP・かか 膝上のパソコンから生む新アルバムの世界観

 

統一されたかかの世界観

かかのアーティスト写真

 歌詞については、各曲ともテーマが違うものの、どことなく世界観が共通しているのも特徴の一つだ。「アルバムだから統一感を出しました」と、かかとしてのイメージを大切にした。

 思春期にあるような心の揺らぎや自問自答を積極的に前に出し、全曲がストーリー仕立てになっている。随所に「黒いバケモノ」「狐のお面」「嘘のご先祖様」など、どことなくゾクっとする要素が登場するのは「キジムナーとか、沖縄のマジムンとか怪談とかが好きなので」と、生まれ育った土地柄も歌詞に込めた。

 恋愛の描写もある。「まだ恋愛をしたことがないので、実話に基づいたものは一つもないですが、他の人の体験談を参考にしました。そっちの方が心に響く」と、他者の心情から敏感に汲み取ったものを真っすぐ言葉にしてみせた。

「ボカロにこだわってるわけではない」

 音を画面上に打ち込む作業は、当然一定程度の音楽的知識やスキルが要求される。前作と今作をボカロ曲で出したかか。しかし本人としてはボカロ作品にこだわっているわけでは一切なく「今はボカロがメインっぽくなっているけど、自分のボーカルでも曲を作っていきたい」と話す。

 もともと幼いころから音楽活動をしていた。父親でミュージシャンの知花竜海さんの影響もあり、姉と妹と3人でバンド「KiKaChi王」を5年前に結成。自身はドラマー兼ボーカリストとしてオリジナル曲を演奏している。「夏休みの自由研究でバンドを組んで曲を作りました。小3の時なのでその時のことは全然覚えてないですけど」。自由研究で曲を作ってきたという珍しい発表に対して「当時の担任の先生が音楽に理解のある人で、音が良いCDプレーヤーを使って学校で流してくれたんですよ」と、周囲の大人たちも一緒になって楽しんでくれた。

 若干14歳にして、多様な音楽を聴き続けている。ポップスやロックはもちろん、ジャズやクラシック、オーケストラなど、ジャンルを問わず音楽に傾倒していく中で「好きな音楽の中の一つに、ボカロがあるという感じです」と話す。5曲目の「明るい妄想」では、琉球音階が採用されている。意識的に入れたものでもなく「単純に沖縄の音楽も好きだから」と答えは明快だ。

 アルバムのジャケットデザインは1つ年上の姉「きき」が担当した。これもパソコンのデザイン系ソフトを駆使したものだ。一昔前よりずいぶんと気軽に始められるようになったパソコンでの芸術表現。新しい分野での若い才能が沖縄からも羽ばたき始めている。

【配信アルバム】 Neon the time(ネオン・ザ・タイム)
【発売元】 赤瓦レーベル
【仕様】配信アルバム(spotify,Apple Music,amazon musicなど各サブスク&配信サイトにて)
【収録曲】 全7曲

1.Neon the time
2.「消えた。」
3.最後の神隠し『出会い』
4.君のことを考えない日は一日もなかった
5.明るい妄想
6.最後の神隠し『狐様』
7.死んでしまうと忘れていたよ

■関連リンク
Twitter(かか@KiKaChi王)
YouTube かか

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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