沖縄畜産農家が悲鳴「飼料高騰対策と価格上乗せを」 経営危機突破大会に250人

 
「危機突破」と赤字で書いたハチマキを巻き、ガンバロー三唱する畜産関係者たち=7月7日午後、沖縄県豊見城市の沖縄空手会館(長嶺真輝撮影)

 ウクライナ危機や原油価格の上昇で飼料価格などの生産コストが急騰している現状を受け、JA沖縄中央会(普天間朝重会長)は7日午後、豊見城市の沖縄空手会館で「畜産経営危機突破生産者大会」を開催した。参加者は県内の生産者や関係団体、関係会社役員ら約250人。「国や県への緊急支援を要請し、県民各層の理解を求める。飼料高騰対策及び再生産可能な価格形成の実現に関する要請を確認し、本県畜産業の存続を懸けてこの取り組みに邁進する」との大会宣言を採択した。

7~9月期の値上げ幅が過去最高

 JA沖縄中央会の情勢報告によると、四半期ごとに全国農業協同組合連合会(JA全農)が発表する配合飼料価格(全畜種平均、工場渡し)の今年7~9月期の引き上げ幅は1トン当たり11,400円と過去最高を記録し、これまでの上げ幅の最高額だった2021年1~3月期の5,500円の2倍以上となった。

配合飼料価格の推移などをまとめた各種グラフ

 1トン当たりの価格は過去最高水準の9万円台後半となり、コロナ禍に入る前の2020年当初の約6万円から、この短期間で約1.5倍に跳ね上がった。ウクライナ情勢が長期化していることなどから「今後も高騰が継続することが想定される」と危機感を強める。

 生産者を代表して意見表明した沖縄県養鶏農業協同組合の諸見里元組合長によると、10年前まで遡ると、今年4月時点の飼料価格と比較して2倍近くに上がっているという。成鶏5万羽を飼育する農家では、月の飼料代が約675万円も上昇しているとの試算を紹介し、「物価の優等生と言われた卵ですが、これ以上のコスト削減はもはや生産者の努力だけでは限界に達している」と窮状を訴えた。さらにトレーやパックなどの資材価格も上がっているという。

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