沖縄畜産農家が悲鳴「飼料高騰対策と価格上乗せを」 経営危機突破大会に250人

 

消費者の理解醸成を

西銘恒三郎沖縄担当相の話に耳を傾ける参加者たち

 大会では、生産コストの上昇分を吸収するために必要な販売価格へ上乗せ額の試算も品目別に報告された。いずれも、飼料価格が1トン当たり1万円上昇した場合を前提とした。

 鶏卵は10個入りのパック(600グラム)当たり約13円、鶏肉は精肉100グラム当たり約3円、牛肉は精肉100グラム当たり約29円、豚肉は精肉100グラム当たり約13円。

 いずれも大幅な価格引き上げとは程遠い額であるため、JA沖縄中央会の嵩原義信専務は「通常の価格変動の範囲で、飼料コストの上昇が上乗せできるのにも関わらず、この上乗せができておりません。県民、消費者の理解を求めていく取り組みが求められています」と述べ、価格転嫁に対する理解の醸成を訴えた。

4項目の要請決議を採択

 大会では、県や国に求める要請決議を採択した。内容は以下の4項目。

①飼料価格高騰に対する負担軽減策の実現

②生産コスト上昇に着目した経営安定対策の確立

③再生産可能な価格形成に向けた理解醸成の実施

④生産者の農業経営確立に向けた生産性向上技術の実践

畜産経営に対して危機感を示す普天間朝重会長

 主催者を代表して挨拶した普天間会長は、畜産業が沖縄の農業産出額の約半分を占めていることを念頭に「沖縄の農業を牽引する重要な品目」との認識を示した。しかし、現状では生産コストの上昇により「畜産経営がかつてないほど危機的な状況に直面している」とし、「生産現場の窮状、悲鳴を県民や消費者へ広く知ってもらうとともに、経営安定に向けた緊急支援対策の実現に向けて一致団結して要請を行っていきたい」と展望した。

 大会には西銘恒三郎沖縄担当相、玉城デニー知事の代役として池田竹州副知事、赤嶺昇県議会議長の代役として仲田弘毅副議長も参加した。最後は参加者の結束を強めるため、ガンバロー三唱で締めくくった。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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