【戦後76年 慰霊の日】問われ続ける表現のあり方 映画のなかの沖縄戦②

 
平良竜次さん

 戦後76年目の「慰霊の日」。沖縄戦という出来事とその記憶の継承が困難になる中、沖縄戦を知る/考えるための1つのきっかけとして映画作品に注目し、NPO法人「シネマラボ突貫小僧」代表で『沖縄まぼろし映画館』著者(當間早志共著)でもある平良竜次さんに話を聞いた。
 前編では「ひめゆり」を巡る映画作品を中心に話してもらった。後編では元知事で鉄血勤皇隊でもあった大田昌秀氏がモデルになった主役の作品や、豪華俳優陣が日本軍の将校たちを演じた作品などについて触れる。

元知事の体験を基に描く“少年兵”の物語

 「53年版の『ひめゆりの塔』の人気があまりに凄まじかったので、同じ年に作られたけど、今では忘れられた映画というのもあります」と言って平良さんが紹介したのは『沖縄健児隊』(岩間鶴夫監督、1953年)。沖縄戦で鉄血勤皇隊に動員されて情報宣伝隊「千早隊」に配属された太田昌秀氏と、沖縄学研究者の外間守善氏とが編んだ戦記を元にした作品だ。2人は沖縄師範学校の同期で、沖縄戦の戦禍をともにくぐり抜けた。

「『ひめゆりの塔』が当たったこともあって、松竹と東映から映画化のオファーがあったということです。言ってみればひめゆりの“男の子版”みたいな感じですかね。実際に見てみると、主人公はどう考えても大田さんなんですよ」

 劇中には首里城そばにある守礼門が艦砲射撃によって爆破されてしまうシーンも出てくるという。「一昨年の火災もあったので、今見るとちょっとドキッとするかもしれませんね」。鉄血勤皇隊だった頃の大田氏は当時の第32軍司令部に出入りしており、地下に司令部壕があった首里城が画面に登場するのには必然性がある。
 こうしたディテールの部分に馴染みのある場所が出てくると説得力も増す上、物語が一気に身近になる。

左2人は中学生の鉄血勤皇隊とみられる少年。右端は朝鮮の成人男子(1945年撮影、沖縄県公文書館所蔵)

「少年を戦争に駆り出す“少年兵”という括りで言えば、アフリカなどの紛争地で問題が燻っている現状もあり、今現在の世界にも通ずるところがある話だと思います。未成年に武器を持たせて戦場に立たせ、殺戮をさせるということがどういうことなのか。しかもそれが我々が住む沖縄の地で実際に起こったという事実があって、そのことを考えるきっかけになる作品だと思います」

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