VR空間の国際通りで買い物も メタバースが沖縄に果たす未来

 

バーチャル空間をみんなで観光

 「コロナ禍で沖縄旅行が叶わない人が、沖縄を体感できる場所として楽しんでもらっています。バーチャルOKINAWAの中で会話もできるので、友だち同士一緒に“観光”するという使われ方もよく見られます」と佐橋さん。「記念写真を撮る人もいますよ」と、一人一人の意思で動く分身であるアバターが大集合し、思い出を共有する。バーチャルOKINAWAには現在、1日あたり約200人が訪れているという。

世界中から参加 沖縄の魅力発信拡大に寄与

 バーチャルOKINAWAでいち早く復活したのは、首里城正殿だけではない。長らくコロナ禍で開催が叶わなかったイベント「一万人のエイサー踊り隊」は、2021年にバーチャルOKINAWA内にてオンライン開催された。佐橋さんは「みなさんが集まってエイサーを楽しんでもらうことで、伝統芸能や文化を守ることにもつなげられます。世界中から参加できるバーチャルでのイベントは、沖縄の魅力発信の拡大にも寄与できます」と話す。コロナ後の世界でもリアルとバーチャルが上手く絡み合うことで、小さな島から大きく発信していくことができる。

 バーチャルOKINAWAは実店舗のもう一つの経済活動の場として、すでに機能し始めている。あしびかんぱにーは今年4月に沖縄ヤマト運輸株式会社(糸満市)と共に、バーチャルOKINAWA内に「国際通り商店街公式オンラインショップ」を開設。コロナ禍で経済的な影響を受けている国際通りの活性化を目指したもので、バーチャル内で購入したものが実世界の自宅などに届けられるサービスだ。「バーチャル支店を出したいという店舗さんもいます」(佐橋さん)と、今後の商圏にも変化が見られそうだ。

 メタバースでは離れた場所でも目の前にいるかのように接客もでき、商談もでき、気さくな雑談もできる。沖縄が島しょ県であるが故に抱えてきた「地理的不利性」を一気に飛び越え、地方創生の観点からも多大な期待が寄せられる。

乗れるか次なるビッグウェーブ

 新しい技術や価値観の受容や活用は、大きな可能性を秘めている。世界の歴史を見ると、進みゆく技術革新や新しい物事の誕生に時代が逆行していくことなどなかったはずだ。小説を読むことは「現実から目を背けている」とされ、テレビの人気は“一億総白痴化”の根源とされ、インターネットの普及は「コミュニケーションを希薄にする」と言われた時代があった。

 次なる技術革新のビッグウェーブがメタバースにあるとするならば、小さな島国ながらも独自の文化が色濃い沖縄こそ、世界に発信できるチャンスなのではないか。筆者はこの取材を機に、VRゴーグルで世界をバーチャル旅する一人になった。新しい世界はどこまでも広がる。

■関連リンク
バーチャルOKINAWA β版 オフィシャルウェブサイト

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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