【参院選】伊波氏と古謝氏の経済政策は? 沖縄選挙区

 

 7月10日の投開票日が迫る参議院議員選挙。沖縄選挙区では届出順で無所属現職の伊波洋一氏(70)、自民新人で公明推薦の古謝玄太氏(38)、NHK党新人の山本圭氏(42)、参政党新人の河野禎史氏(48)、幸福実現党新人の金城竜郎氏(58)の5人が立候補しており、そのうち伊波氏と古謝氏が激しく競り合っている情勢だ。両氏の政策を2回に分けてテーマ別に比較、整理してみる。1回目は経済関係の政策だ。

 2回目は以下を参照。
【参院選】接戦の伊波氏と古謝氏 安全保障と福祉政策を比較する 沖縄選挙区 | HUB沖縄

コロナ禍や物価高騰への対策は?

政策発表で決意を述べる伊波氏=6月13日、那覇市内

 コロナ禍に追い討ちをかけるように物価高騰に見舞われる沖縄の経済。コロナ前には年間約1000万人の入域観光客が訪れるなど観光業に牽引されて好調だっただけに、どのように回復を図るのかが大きな課題だ。さらに、コロナ禍で露呈した医療体制の不備をどう克服するのか。

 伊波氏は、飲食業、観光関連産業などへの支援を通して県経済全体に波及効果を生み、県民生活を再生させるとしている。物価高騰対策の他、エッセンシャルワーカーの処遇改善といった支援に取り組む。また、古謝氏との違いが明確なのは「時限的に消費税を5%へ引き下げる」としている点だ。
 新型コロナの感染予防に関しては「宿泊療養施設の整備、空港・港での水際対策支援」「病床の確保、診療報酬の改善」「いつでも・どこでも・誰でも受けられるPCR検査体制の確立」などを掲げている。

 古謝氏は、新型コロナウイルス感染症に対応できる医療体制整備の他に「対応薬の開発促進」を政策に盛り込んだ。また、経済や安全保障の観点から、サイバーセキュリティ人材の育成と関連機関の誘致も提言し「平和創造の観点からも、沖縄との親和性が高い」としている。
 その他「コロナ禍によって業績が悪化した産業への適切な支援の継続・拡充」「中小企業への資金繰り対策と、生活困窮者への支援」「世界情勢の不安定化などによる資材・原材料高騰への国としての支援」などを掲げている。

伊波氏、教育保育の無償化 古謝氏、リカレント教育支援

出陣式で決意を述べる古謝氏=6月22日、那覇市内

 経済とも密接に関係するのが人材育成だ。沖縄県は文科省の全国学力テストにおいて、中学で全国最下位が続く他、関東や関西に比べてハイキャリア人材の確保が難しいなどの課題がある。

 人材育成について伊波氏は、「未来への責任として教育格差をなくす」として教育への投資を「先進国並みに増額」するとしている。給付型奨学金や奨学金返済減免の拡充、高等教育、幼児教育・保育、学校給食、子ども医療の無償化も訴える。
その他、「海外留学・派遣や職業訓練などを通じての高度な人材育成」「意思決定の場への多様な人材の参画の支援」「30人以下学級、少人数学級の実現の推進」を盛り込んでいる。

 一方の古謝氏は「リカレント教育(学びなおし)や資格取得の支援」「沖縄の環境を生かした英語教育やグローバル教育の推進」を前面に押し出す。創薬産業の活性化を謳った上での「国公立大学への薬学部新設」も盛り込んだ。幼少期保育から成人後のキャリア支援まで継続的な支援にも取り組みとしている。
 その他「就職支援の強化、企業との採用ミスマッチ解消」「奨学金の返済に苦しむ若者支援」「沖縄科学技術大学院大学と連携した人材育成、産業振興」も掲げる。

伊波氏 最低賃金1000円以上 古謝氏 沖縄を起業の聖地に

 沖縄の県民所得向上についてはある意味“悲願”と言っても過言ではない。2018年度の1人あたり県民所得は約239万円。この額は全国平均のおよそ4分の3にとどまる。2年以上も続くコロナ禍によって経済が落ち込み、さらに悪化していることも予想される。

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