沖縄のエネルギー自給率2.7% この数字が意味する危うさと希望

 

 一般的に太陽光発電や風力発電は発電量がその日の天候に左右されるため、電力供給が不安定になる。「関東」「関西」「九州」というように比較的大きな範囲を電力会社がカバーできる地域ならば、再生可能エネルギーでの発電量が少ない日でも、多くある発電施設同士で電力調整が比較的簡単に済む。

 しかし沖縄の場合は、抱える発電施設の数が少ないだけではなく、他県と陸続きではないために万が一の時には他の電力会社からの融通もかなわないため、電力調整が難しい。そのため、不安定な再生可能エネルギーの導入が進みにくい現実がある。

沖縄だからこそ世界に果たせる意味

 そんなエネルギーの問題を「沖縄が解決することに意味がある」と宮城さんは力説する。前述のように再生可能エネルギーの導入が進みにくいなど、決して好条件と言えない沖縄がエネルギー自給を達成すると「誰も言い訳できないんです」(宮城さん)と言うように、世界に対して大きな成功例を示すことができる。

「沖縄でエネルギー自給率100%を達成できたとしたら『沖縄のやり方を真似すればいいんだ』というインパクトを残すことができます。そういった形で世界のエネルギー課題に寄与できると思うのです」

 規模は小さいながらも世界に影響を与える、という大きな視点を、宮城さんは沖縄の歴史にも重ねている。「『武器を持たずに礼節を重んじる』という国づくりをしてきた琉球のように、その“あり方”で世界から平和の邦として認識されてきました。武力とか軍事的なイノベーションではなく『何を大切にするか』で世界に貢献してきたわけです」

 そのソフトパワーを、今度はエネルギー分野で発揮する番だ。宮城さんは言葉を重ねる。「若い世代のために、今変えないと」

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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