沖縄のエネルギー自給率2.7% この数字が意味する危うさと希望

 

 「外からのエネルギー資源の供給が断たれた時に、電気もガスも手に入らなくなり、非常に高級品になり、本当にごく一部の人しか買えなくなってしまいます」と宮城さん。エネルギー資源を輸入に大きく頼っていると、自然災害や輸入相手国の政情不安などが原因で資源が手に入らなくなってしまう恐れがある。

 それだけではない。「例えば工場で電気を使って生産していたあらゆるものも作れなくなります。食品も作れなくなってしまうので、食の値段も上がります」と話すように、エネルギーが手に入らなくなった時点でさまざまな分野がドミノ式に成り立たなくなってしまうことになる。

エネルギーの効率化整備で自給率激増

 ただ、エネルギー自給率を上げることは容易なことではない。沖縄県内でも関係各所がこの問題に取り組んでいるものの、4年間で0.5%分の上昇にとどまっているのが現状だ。

 その解決策について宮城さんは「シンプルな話です。まずはエネルギーの効率化で使用量を減らすこと。そして再生可能エネルギーを含めた地産型のエネルギーを増やすこと。この二つで急激にエネルギーの自給率を上げることができます」と明快に示す。

「例えば建築物の断熱基準を上げることで、冷房で過剰に電力を使うことを避けることができます。車の運転についても、1人1台ではなく乗り合いなどの仕組みを整備したり、リモートツールを活用して1カ所に集合する必要をなくしたりなどもできますよね。社会全体としてエネルギーを効率化できる余地はまだまだたくさんあります」

 このように、環境美化技術の進歩といった“理系的アプローチ”だけではなく、仕組みの整備や意識啓発といった“文系的アプローチ”もエネルギー問題を大きく解決に導く手立てとなる。

 また、地産地消のエネルギーシステムを作り上げるには、エネルギーを“生産”する取り組みを「今から始めないと間に合わない」(宮城さん)という。「再生可能エネルギーをどう地域で導入し活用できるのか、県全体で考える必要があります」

沖縄ならではの高ハードル

 エネルギー自給率の改善だけでなく「脱炭素化」の観点からもクリーンエネルギーの普及も求められている。しかし、沖縄は島しょ県であるが故のハードルの高さもあるという。それは、発電施設を開発するための土地の少なさと、安定的に電気を届ける電力の調整問題だ。

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