安い商品を「買うだけで社会貢献」の理由 食品ロス削減ショップ

 

日本特有の「3分の1ルール」

 食品ロスの現状は深刻だ。

 2018年の日本国内の食品ロスは約600万トンと言われており、1人が1日に茶碗1杯の白米を捨てているような計算となる。世界の食糧援助は約420万トンとされ、その量をゆうに超える。

 また、日本のさまざまな商習慣も食品ロスを生み出す要因となっている。製造日から賞味期限までの期間のうち、残り3分の1の日付になると販売ができず返品されてしまう「3分の1ルール」というものがある。ecoeatに賞味期限切れではない商品が安く並ぶのも、こういった背景からだ。

塾を運営する法人が食品ロス削減に取り組む理由

 学習塾を運営する法人が食品ロス削減ショップを運営するのには、一見無関係なようで、関係がある。それは学習支援の観点だ。

 琉人が運営する個別指導学院Hero’s(ヒーローズ)では、学習指導をより安価で提供するために別事業で上げた利益を塾運営に還元しようと考えた。なおかつ地域の人に食品を安価で提供することで、食費を節約し教育費など必要な物事に充ててもらうことができるようになる。

 これらの社会貢献を、商業活動として着実に利益を出していくことで、継続的に行うことができている。学習支援を念頭に置いた取り組みは、ecoeatの中でも沖縄県内2店舗の独自のものだ。

「みんなでちょっとずつ得を」

 玉城さんは言う。「みんなでちょっとずつ得をしていきましょう」。

 廃棄予定の食品を買い取ってもらうことで業者が得をし、ecoeatは店舗運営を通して得をし、客は安く食品を買えて得をする。まさに三方良しだ。

 買う側の視点からだと「安い」というお得感もさることながら、買い物によって「社会貢献ができた」との達成感も同時に得ることができる。食品ロス削減、生活困窮者支援、学習機会の支援。一人一人が簡単にできることからコツコツと。賞味期限切れの食品が、余計に美味しく感じられる。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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