安い商品を「買うだけで社会貢献」の理由 食品ロス削減ショップ
- 2022/2/27
- 社会
日本もったいない食品センター理事で合同会社琉人共同代表の玉城淳一郎さんは「ecoeatがディスカウントショップと違うのは『自分たちで選んで仕入れていない』という点です」と話す。あくまで、捨てられてしまうはずだった食品を引き取った結果、安価な商品が多くなった。「ですので、置いてあった商品が次はもう入荷の予定がない、ということもあります」と、商品との一期一会を楽しむこともできる。
食品ロス知識の啓蒙の場としても
「いらっしゃいませ」との声が響いた後に「こちらは初めてですか?」と声をかけるのは、玉城さんともう一人、同じく共同代表である妻の郁子さんだ。ここにある商品が安全で美味しく食べられるものであることをしっかりと対面で説明しながら、食品ロスについての知識を共有している。
一般のお店の違いは、まさにここにある。玉城さんは「食品ロスの半分は家庭から出ています。正しい知識をご家庭でも共有していただくことで食品ロスを減らしていけるような働きかけをしています」と話す。
実際に、店員と客が“普段の買い物ではなかなか出てこないであろう話題”で話し合うことは、お互いに親近感も沸き、お店としての魅力にもつながっている。気軽に声をかけ合いやすいように、店舗内は広さや棚の高さなどが工夫され目線が合いやすいようになっている。また、店の倉庫の一角では生徒や一般向けに、食品ロスに関しての勉強会も開催している。
“水の賞味期限”は実は…
賞味期限切れの飲食品を口にすることに対して抵抗感を持つ人は少なくないだろう。改めて「消費期限」と「賞味期限」の違いを考える。
農林水産省によると、消費期限は「安全に食べられる期限」で、賞味期限は「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」を指す。いずれも未開封で適切な保存方法を守っていることが前提だ。
玉城さんは「缶詰やペットボトルなど、密閉されているものや冷凍されているものは、開封しない限りさほど劣化は進みません。賞味期限が過ぎていたとしても、味の変化がほとんどないものも多いです」と説明する。賞味期限切れ商品であっても、しっかりと品質を確認してから店頭に並べている。賞味期限の概念自体が固定的ではない場合もあるという。「例えばペットボトルの水の賞味期限は、水が劣化するからということではなく、(蒸発によって)少し減るから、という理由なんですよね」