塩水で点灯するライト 災害時の停電で威力を発揮

 
合同会社Heidi Heidi 尹泳斗会長

 大規模な地震や津波、台風などの災害が起きた時は電気や水道、ガスといったライフラインが寸断され、利用できなくなる事態が発生しがちだ。2018年の北海道胆振東部地震では、北海道電力の苫東厚真火力発電所が被害を受けたのを契機に、道内全域の300万戸近くで電力が停止する「ブラックアウト」が発生し、電気がおおよそ復旧したのは発生から45時間後だった。

 これほど大規模な停電は他に例を見ないとしても、復旧には多くの時間を要する。日本気象協会によると、1995年の阪神淡路大震災で被災地の9割で停電が復旧するのに要したのは、2日。2011年の東日本大震災では6日かかったという。

 停電が続くあいだ夜間は真っ暗ということにもなれば、その不便さは言うまでもない。勝手知ったる自宅で復旧を待つのならまだしも、自宅が被害を受けて外に避難することを想定すると、照明の存在は不可欠である。ただ、私たちはその備えを十分にしているだろうか。

 石垣市の合同会社Heidi Heidiは、災害を想定した軽量のランタン「ソルピカ」の沖縄県における代理店だ。ジッパーのついた袋にLEDライトが取り付けられ、この袋のなかに200ミリリットルほどの水と塩を入れてから振ってかき混ぜれば、点灯する。明るさは50ルーメンと、 LEDを使った小型の懐中電灯と同程度だ。Heidi Heidiの尹泳斗会長は説明する。

 「自宅に懐中電灯を持っている人は多いかも知れませんが、懐中電灯は電池を必要とします。ある日突然に発生する災害の時に電池が切れていたり、水に浸かって使いものにならなかったりすることも考えられます。その点、このソルピカであれば、塩水だけで点灯します。醤油や尿など塩分を含むものなら十分に点灯できます。しかも重さは45グラムと非常に軽くて携帯しやすいのが特徴です」

ソルピカについて説明するHeidi Heidiの尹泳斗会長

 連続して点灯する時間は120時間。途中で使い終わっても、いったん水洗いすれば、再生利用も可能だという。

 沖縄県は災害に備えて、3日分の飲料水や非常食、トイレットペーパーやろうそく、カセットコンロなどの備蓄に加えて、救急用品やヘルメット、携帯ラジオなどを入れた非常用持ち出しバッグを日頃から準備しておくよう、県民に対して呼びかけている。

 2017年に内閣府が実施した「防災に関する世論調査」では、「食料や飲料水、日用品などを準備している」と回答した人は、全体の45.7%。また、市場調査などを行う民間企業のmitorizが2019年に行った調査では、「防災グッズの備蓄・保管をしていますか?」との質問に、「している」と回答した人は、エリア別で北海道や関東では50%以上に上ったのに対し、九州・沖縄では31.3%にとどまり、全国で最も低かったという。

 備えあれば憂いなしという言葉がある。自宅の防災グッズをいま一度、確認してみてはどうだろうか。

<ソルピカについての問い合わせ>
合同会社Heidi Heidi
090-8293-3337
sorupika.okinawa@gmail.com

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