新しい“沖縄の表現”を探求する「ナナイロノート」 鍵はローカル&ストイック

 
ニイナさん

作品は“皆のわくわく”の結晶

 昨年7月には社会現象にもなったアニメ作品『鬼滅の刃』の主題歌「紅蓮華」をウチナーグチアレンジした動画を公開した。ボーカルを担当したのはモデルやラジオパーソナリティとして活躍している、うるま市出身のニイナさんだ。

ウチナーグチだと、歌えば歌うほど沖縄の血が騒ぐ感覚になるんですよ。力強くて、気持ちよくて。もちろん勉強にもなりました」と話す。映像の撮影現場では収録を楽しみながら、テイクを繰り返すうちに気持ちが入り込み「気づいたら自分の歌みたいに歌ってました(笑)」と話す表情は朗らかだ。

 ニイナさんのセンスと歌唱力には、HOMAREさんも濱里さんも「ピカイチ」と太鼓判を押す。

 シンプルな楽器構成でのアレンジもさることながら、琉装したニイナさんの凛としたパフォーマンスが抜群にカッコ良い。その佇まいと民謡に寄せた発声・節回しの歌声には、歌詞にもあるような「強さ」とそれに見合う説得力がある。コメント欄でも歌唱や演出も含めて映像の完成度を絶賛する言葉も多い

「ナナイロノートでの活動は純粋に楽しくて、刺激を受けられます。とても良いメンバーが集まっていて、皆の“わくわく”が集まって作品が出来上がるんです」(ニイナさん)

全力で好きなことを楽しんで良いものを作る

 HOMAREさんは「全国的に見ても同じようなことをやっているチャンネルは無いし、それが僕たちの唯一無二の強みです」と自負する。関わる人たち全員それぞれが全力を尽くし、さらに全員が好きなことをする現場で、良いものを楽しく作るのがナナイロノートのアティテュードだ。

 ただ一方で、今はまだ動画配信での利益が出ていない現状もある。「全ての動画は『これはバズる!』と思って作ってるんですけどね(笑)」とHOMAREさん。今後もたくさんの人に届ける方法を模索し、ファンからの支持を得たらオリジナル楽曲の制作も見据えているという。

沖縄版『We Are The World』みたいな楽曲を作るのが夢です。今だからこその新しい形の表現にはたくさんの可能性があると考えているので、これからも色んな面白いことを実践していきたいですね」

 ナナイロノートの発信する七色の音が、沖縄の風を世界中に届ける虹の橋を架ける日はそう遠くはないかもしれない。

■関連リンク
Nanaironote YouTubeチャンネル
Nanaironote Official Web Site
HOMAREさんのInstagram

次ページ:
1 2

3


真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

この著者の最新の記事

関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ