西表炭坑描いた『緑の牢獄』が台北映画賞にノミネート

 
ドキュメンタリー映画『緑の牢獄』を撮った黄インイク監督(ムーリンプロダクション提供)

 今年3月から県内で公開されている1960年代まで八重山列島の西表島にあった採炭場「西表炭坑」を巡るドキュメンタリー映画『緑の牢獄』(黄インイク監督)が、台北映画祭(Taipei Film Festival)で計4部門にノミネートされた。台北映画祭は台湾で最大規模の映画祭で、黄監督が台北映画賞にノミネートするのは、石垣島の台湾人移民一家を描いた前作『海の彼方』に続いて3度目となる。
 黄監督は沖縄在住で台湾出身のドキュメンタリー監督・プロデューサー。台湾と沖縄を拠点にした映画製作・配給会社を2019年に設立して、映画カルチャーを発信している。

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新人監督の登竜門に入選

 『緑の牢獄』は西表炭坑で炭鉱労働者の斡旋をしていた管理人の養女として、台湾から西表島に移り住んだ橋間良子(旧名:江氏緞)さんの晩年を記録している。インタビューを軸に、廃墟となった炭坑や島の自然をカメラにとらえ、稼働していた当時の写真や音声資料、再現映像も交えて島に住み続けた彼女とその家族に迫った作品だ。

 黄監督は「台北映画祭が『緑の牢獄』を2つのコンペティションに選出した勇気にとても感謝しています。本作は様々な国のメンバーで制作しましたが、皆、(劇中に登場する女性の)橋間さんの人生の物語に感動し、ドキュメンタリーの主人公を大胆で詩的に表現してくれました」とコメントした。

 国際新人監督コンペティションには台湾のドキュメンタリー映画として初めて入選。このコンペティションには過去に複数の日本人監督もノミネートしていて日本との関わりもあるほか、ベルリン映画祭の金熊賞の受賞者もおり、新人監督の登竜門としての位置付けになっているという。このほか、同映画祭の台湾映画向けコンペティション「台北映画賞」のドキュメンタリー、音楽、音響効果の3部門にノミネートされている。

 同映画祭は台湾での新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて開催の延期を決定しており、コンペティションの結果は9月23日~10月7日の開催期間中に発表される予定という。

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