「子どもに夢を与える舞台を」沖芸大琉球芸能専攻OB会が30日公演

 

 1月30日、那覇文化芸術劇場なはーと大劇場において沖芸大琉球芸能専攻OB会による琉球芸能公演『那覇文化芸術劇場なはーとこけら落としシリーズ 見る 聞く 感じる 琉球芸能の世界』が開催される。グリム童話をモチーフにした組踊など「子どもに夢を与える舞台」がコンセプト。クラウドファンディングで多くの支援が集まり、開催を後押しした。出演者総勢60名強は当日に向けて日々準備を進めている。

180名の大所帯、若い世代のOB会

 「沖芸大琉球芸能専攻OB会」は、沖縄県立芸術大学琉球芸能専攻の卒業生および在学生によって構成される団体で、2005年に設立して以来、現在およそ180名の会員が在籍している。

 一般的にOB会という団体名では年輩のイメージがあるかもしれないが、この団体は20~30代が中心となって琉球舞踊や琉球古典音楽の普及と互いの技芸向上に力を注いでいる。地域のイベントや公演、学校向けのワークショップなど県内外で活動しているので、活躍を目にした人も多いだろう。

「見る 聞く 感じる 琉球芸能の世界』公演チラシ

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、OB会も例外なく舞台の延期や中止に追い込まれ、精神的にも金銭的にも困窮する者が続出した。

 先の予定が立たない中でも立ち止まらず進んでいきたい、会を盛り上げたいと模索していたところに、昨年那覇市にオープンした那覇文化芸術劇場なはーとがこけら落とし公演の企画を募集していると知り、応募した。

 その結果、応募数29件の中から無事採択され、1月30日に公演を開催することとなった。 

 公演日は決まったものの、コロナ禍で1600席という大舞台での開催には予算面で不安があった。そこでクラウドファンディングに挑戦した。県内外から寄付を募ると、期限直前に目標額を達成できた。1つ1つの応援メッセージを見て、これまで会を応援してくれた人がこんなにも居るのだと実感し、出演者も改めて奮起し上演へのはずみがついたという。

沖縄版で観る『白雪姫』

 午後9時、約束より少し早く稽古場に到着すると、すでに稽古は始まっていた。「皆が早めに集まることが出来たので、開始を早めました」との話。限られた時間で少しでも稽古をしたいという熱意を、訪問して早々に感じた。

熱気溢れる演奏の稽古

 稽古をしていたのは創作組踊『白雪乙鶴』。グリム童話の『白雪姫』を組踊に翻案した作品である。初演はOB会の設立前、2003年の男性舞踊家有志公演だったという。

 演出の高宮城実人さんは「当時私は地謡(演奏者)として参加していて、この作品はまだメモ程度だったものを出演者みんなで合作したのを覚えている。初演は出演者がもっと少なくシンプルな作品だった。再演時に書き加えたら今度は複雑になり、他のメンバーと協力して脚本を整理し、数度の上演を経て現在の形になった」と作品の経緯について語った。「ストーリーは誰でも知っているので、白雪姫が沖縄版だとこんな風になるんだな、と観客に楽しんでもらえたらいいなと思う」と、仕上がりに期待を寄せる。

稽古を見守る演出の高宮城実人さん
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