沖縄空手会館をご存知ですか? 沖縄空手の世界④

 

 読者の皆さんは現在、沖縄には空手道場がなんと400以上もあるという事をご存知ですか?そのほとんどが先生の自宅内に10~20人ほどが稽古できるスペースで、道場内には巻藁などの鍛錬具があり写真・賞状・資料が壁に貼られています。もちろん自宅ではなく武道場や体育館、学校施設で空手稽古するところもあります。

 そんな空手道場の象徴である場所が「沖縄空手会館」です。ここは沖縄空手の殿堂、そして空手のテーマパークというコンセプトで沖縄空手伝統振興会と沖縄県によって2017年3月沖縄県豊見城市にオープンしました。

沖縄空手の象徴が完成!難航した資料集め

 沖縄空手会館は那覇市街地や那覇空港からも車で15分ほどの高台に位置しており、那覇市街が望める抜群のロケーションでもあります。 

 筆者は12年前からこの沖縄空手会館の構想を聞いており、場所の選定から建物施設の内容、運営法などを様々なネットワークから情報を集めていました。場所が決まってからは何もない建設地に足を運び期待に胸膨らませて建築途中も現場を視察したりしたものです。

 そんな中、空手古書道連盟として空手資料を収集している筆者にオープン3年ほど前に連絡が入りました。会館内に「空手博物館」を造るにあたり協力してほしいという依頼で、以降は沖縄と東京で資料収集の行政担当者とのやり取りが続きました。沖縄空手会館はこの「空手博物館」をメインにPRしていきたいという意向で、世界中の空手関係者に資料収集を呼びかけていました。しかし思ったより資料が集まらず苦労が続いていました。

 所有者としては大切な資料を手放したくないという理由もあったでしょうし、会館側としては、誰が何を所有しているか把握していないというのも収集を難航している理由でした。

 そんな中、沖縄空手界の中心人物であった沖縄空手道協会・昭平流の高宮城繁先生(2014年逝去)が所有する膨大な資料が寄贈されて活かされることになりました。それを機に沖縄県の各道場からも寄贈と寄託(貸出し)で資料が集まりだしました。筆者は、開館にあたり古い空手書籍7冊を2年間寄託しました。

筆者が寄託した空手書籍

盛大な開館式典 沖縄空手会館の全貌が明らかに!

 2017年3月4日の開館式典に筆者は参列しました。当時の翁長雄志県知事の参列をはじめ県内外から多くの空手家、関係者が集まった盛大な式典でした。

 大阪在住の本部朝基先生(伝説の沖縄空手家)のご子息である本部朝正先生と何年かぶりにお会いして著書にサインを入れていただき記念写真も撮りました。資料室の金城裕先生が寄託した資料前で金城先生のご令嬢と遭遇したのも驚きでした。初めてお会いする沖縄空手の先生も多く、自分にとっては忘れられない日となりました。この日の夕方にリアルな龍雲(幸運の前触れ/吉兆を意味する雲)が現れたのは何かの象徴だったのでしょう。

 さて、完成した資料室は空手の歴史と流派を学べる映像シアター、琉球王国時代からの空手資料、流派の説明、沖縄空手人物、古武道具の展示と様々な資料が展示され、体験コーナーでは様々な鍛錬具を実際に触って試せたり「正拳ロウソク消し」などのゲーム感覚で体験で空手を体験できる設備などもあり親子連れでも楽しめる内容になっていました。

資料室前に設置された沖縄空手の長老達

 また3D映像による沖縄空手の各流派を見ることのできるモニターや、資料室には企画コーナーがあり一定期間テーマを設けての展示も行われています。過去には、「上地流・剛柔流」、「剛柔流流祖 宮城長順」、「空手を伝え、広める!近代の空手教師たち」が行われました。

沖縄空手の普及を目指す空手会館の役割は大きい

 沖縄空手会館の施設は、屋外に赤瓦の屋根に沖縄風の特別道場「守禮之館」があり「空手の日」や特別な演武に使われます。平成の明仁天皇が2018年3月に沖縄訪問した際に最後のスケジュールで沖縄空手会館を訪問してこの守禮之館での演武を拝見しました。

特別道場「守禮之館」は格式高い建物で眼下に市街を見下ろす

 又、大道場と鍛錬室(小道場)、研修室(セミナールーム)があり空手大会、セミナー、日常の稽古に活用されています。その他の施設としては「空手そば」や「沖縄ぜんざい」が食べられる食堂、空手グッズを販売している売店など。

これが食堂で提供されている「空手そば」

 意外と知られていない施設に「資料閲覧室」があります。売店横の小さな部屋ですが空手の本や資料を直接手に取り見ることが出来ます。空手の書籍、雑誌、大会プログラム、新聞資料など沖縄でこれだけ揃っている所はないでしょう。ちなみに沖縄県立図書館にも空手の蔵書は多く、スポーツコーナーではなく沖縄郷土コーナーに分類されていますので、興味のある方は一度覗いてみてはいかがでしょうか。

  沖縄空手会館の役割とは何か?沖縄空手に関する様々な機能を有するこの施設は沖縄県在住の空手関係者の利用は基より、日本本土への沖縄空手への興味関心を喚起し、世界へ空手の素晴らしさを伝え訴えることがその役割であり、今後さらなる発展が期待される施設です。

沖縄空手会館

沖縄県豊見城市豊見城854-1

TEL/098-851-1025

http://karatekaikan.jp/

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藍原 しんや

藍原 しんや

投稿者記事一覧

1968年・東京都出身。空手歴は8歳から始めた遠山寛賢伝の沖縄正統空手統道会、厳誠流空手道厳誠塾。24年間にわたり空手の映像制作の仕事に携わる。現在は空手雑誌「新・空手道」を制作。空手古書道連盟主宰。空手と古書と沖縄をこよなく愛する。

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