残り0.5秒、劇的ブザービーターで勝利!! キングスが初のファイナル進出決定 島根に72-70

 
第4Q 勝利を決めるブザービーターを沈め、吠えるドウェイン・エバンスと次々と抱き付くチームメート=22日、沖縄アリーナ

 キングスがついに初のファイナル進出を決めた。

 プロバスケットボールBリーグ1部西地区1位の琉球ゴールデンキングスが22日、チャンピオンシップ(CS)準決勝第2戦を沖縄アリーナで行い、西2位の島根スサノオマジックに72-70で競り勝った。ドウェイン・エバンスのブザービーターでの劇的な決着となった。

 シリーズ成績を2勝0敗とし、球団初の準決勝突破が決定。キングスはコロナ禍でCSが中止となった2019-20シーズンを除き、3季連続で準決勝敗退を喫していた。西地区のチームがファイナルに駒を進めるのも初めて。

 ファイナルは5月28日~31日、2戦先勝方式で東京体育館で行われる。相手は東4位の宇都宮ブレックス。準決勝で東2位の川崎ブレイブサンダースを2勝0敗で破り、ファイナル進出を決めた。

エバンス、8309人の大観衆を歓喜の渦に

第4Q 厳しいチェックを受けながらスリーポイントを沈める島根の安藤誓哉

 最終第4クオーター(Q)の残り3秒を切ってキングスが5点のリードを奪う。しかし、負ければ今季が終了する島根も諦めない。ウイリアムス・ニカのゴール下と安藤誓哉の意地のスリーポイントで同点とされる。

 残り11.2秒、依然としてスコアは70-70の同点。キングスボール。アリーナを緊迫感が包む中、岸本隆一が放ったスリーポイントはリングに弾かれた。ここでボールに反応したのはエバンス。ペリン・ビュフォードとのリバウンド争いを制してボールを掴むと、残り0.5秒でペイントエリア内から迷わずシュートを放った。

 高い弧を描いたシュートがゴールに吸い込まれると同時に、試合終了のブザーが響いた。チームメートが次々と抱き付き、もみくちゃにされるエバンス。地鳴りのような歓声に沸く8309人の観衆。あまりにも劇的な決着に、感動と興奮が会場の空気を支配した。

試合終了後、ジャック・クーリー(左)と談笑するエバンス(中央)

 第3Qまでわずか4得点とシュートタッチに苦しんでいたエバンス。「自分のプレーがうまくいかない場面が多かった」と振り返る。「歯を食いしばってやればいいことがある。(自分のキャリアにとって)大きな影響がある試合だった」と価値のある勝利を噛み締めた。

「団結の力」が後押し

 沖縄アリーナで行う今季最後のホーム戦となった今試合。まだ興奮冷めやらぬ様子でマイクを握った桶谷大HCは開口一番、力強い口調でこう言った。

ブースターの後押しに感謝を述べる桶谷大HC

 「団結の力です。ありがとうございます」

 盛大な拍手が降り注ぐ中、続けた。

「最後シュートを決めさせてくれたのも、こっち側(島根ゴール)のシュートを落とさせてくれたのも、本当に皆さんのおかげです。(初優勝まで)あと2つ。東京で待っているので、ぜひ応援よろしくお願いします」

 指揮官が言うように、エバンスのブザービーターという終着点に行き着く前にも勝敗を分ける決定的な場面があった。残り約3分から島根はビュフォードとリード・トラビスが合わせてフリースローを4本獲得したが、キングスファンの盛大な応援の中で全て失敗。「ブースターに勝たせてもらった」(桶谷HC)と言っても過言ではない試合だった。

 試合後、島根のエースガードである安藤は「セミファイナルで今日自分たちがした思いを何度も経験してきた琉球の覚悟を、本当に感じました」とキングスの選手、そしてファンの気迫を称えた。

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