糸満出身岡留投手、阪神へ 近年の沖縄県勢ドラフトハイライト

 
岡留英貴選手(亜細亜大学提供)

 11日に東京都内であったプロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)。沖縄出身選手では亜細亜大学4年の中継ぎ投手、岡留英貴選手がただ一人、兵庫県の阪神甲子園球場をホームとするセ・リーグの阪神タイガースから5位指名を受けた。糸満市出身、沖縄尚学高校卒の21歳。高校時代に甲子園の土を踏んだことは無いが、プロとして聖地のマウンドに立つ瞬間に向け、大きな1歩を踏み出した。

力強い直球武器の変則右腕

岡留英貴選手

 身長180センチ、体重87キロの右投げ右打ち。スリークオーターより腕を下げ、サイドスローぎみに投げる変則右腕。高校時代まではオーバースローだった投球フォームを大学1年で改造し、急成長を遂げた。最速は150キロ。大学では主に中継ぎとして活躍してきたが、今月15日には中央大学を相手に2失点でリーグ戦初完投勝利を挙げ、先発やロングリリーフを担える力もアピールした。

 亜細亜大学の発表によると、ドラフト会議当日、指名後に東京都武蔵野市の大学キャンパスで記者会見に臨んだ岡留選手は「特徴である身体の強さと力のある直球を生かし、ケガをせずにチームやファンから信頼される選手になりたい」と力強く展望を語った。亜細亜大学と同じ縦縞のユニホームをまとい、熱狂的で知られる阪神ファンをうならせる快投を期待したい。

 阪神は公式ホームページで「サイドスロー気味から繰り出す直球は威力十分のパワーピッチャー」と記し、高い評価をうかがわせる。チームは16日時点でセ・リーグ2位に付けるが、今季は中継ぎ陣の整備に課題も抱えている中で「ボールの強さが持ち味でコントロールも良く、貴重な即戦力のリリーバーとしての活躍が期待できる」としている。早期の1軍デビューも夢ではないかもしれない。

投手陣の活躍際立つ沖縄県勢

 近年のドラフト会議での沖縄県勢のハイライトは、2019年にオリックスから1位指名を受けた宮城大弥投手だろう。興南高校時代に1年、2年と続けて夏の甲子園に出場し、3年時にはU18日本代表にも選ばれた左腕。大リーグで活躍するダルビッシュ有が自身のツイッターで「興南の宮城投手いいわぁ。投げ方、球筋、総合的に好きすぎる。俺あんなピッチャーになりたかったわぁ」とつぶやくなど、当時から大きな注目を集めていた。

 ルーキーシーズンにプロ初勝利をつかむと、2年目の今季も開幕2戦目で先発し、早速1勝目を挙げた。当時まだ19歳であり、開幕カードで10代が勝利投手となったのは、オリックスでは阪急時代の1957年以来、実に64年ぶりという快挙だった。16日現在、12勝、防御率2.55はいずれもパ・リーグ2位の数字だ。

 2017年に西武から4位指名を受けた八重山商工高校出身の平良海馬投手は、昨季に日本選手6人目となる球速160キロを記録し、沖縄出身選出初のパ・リーグ新人王を獲得。今季は開幕から39試合連続で無失点に抑え、プロ野球記録を塗り替えた。さらに今夏の東京五輪では代表の侍ジャパンにも選出され、金メダルを獲得した。

 近年は投手陣の存在感が際立つ沖縄県勢。平良投手を目標とするピッチャーの1人に挙げる岡留選手にも、安定した投手力に磨きを掛けて1軍に定着し、いつか県勢対決などで沖縄を盛り上げてほしい。

過去には入団拒否も

 毎年10月頃に行われるドラフト会議。「選択会議」ではあるが、指名=入団という訳ではない。日本野球機構(NPB)は「球団が新人選手と契約するためには、新人選手選択会議で、契約を希望する選手に対する選手契約締結の交渉権を獲得しなければならない」と規定する。つまり、指名した時点では球団は交渉権を得ただけであり、その後に選手が契約に合意すれば、晴れて入団となる。

 ドラフト制度は各球団の戦力均衡を図るために1965年に始まった。1993~2006年までは球団と合意すれば大学生、社会人が希望の球団に入団できる「逆指名制度」「自由獲得枠制度」「希望入団枠制度」があったが、裏金問題など各球団による多くの不正が発覚したため、撤廃となった。

 沖縄出身選手では、〝松坂世代〟の1人である沖縄水産高校出身の新垣渚投手が、高校3年時の1998年にオリックスから受けた1位指名を拒否し、九州共立大に進学。2002年に相思相愛だったダイエー(現ソフトバンク)に自由獲得枠で入団したことが有名だ。

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